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#186

自民党総裁選をにらみ動き出す政局 岸田文雄・前政調会長が生出演

菅義偉総理大臣の、自民党総裁としての任期は2021年9月30日まで。自民党総裁選をにらみながら政局はどのように動くのか。2021年8月8日の『BS朝日 日曜スクープ』には、去年の総裁選で菅総理と争った、岸田文雄・自民党前政調会長が生出演しました。「お盆休み明け、コロナ政局」と指摘するジャーナリスト、末延吉正・元テレビ朝日政治部長の質問に、岸田前政調会長は!?

■どうなる“無投票再選”論 「総裁選をきちんと、の声が一気に」

上山

ここからは自民党の岸田文雄・前政調会長が生出演です。このコロナ禍における政治のあり方、そして今、ここに来て一気に動き出した自民党総裁選をめぐる政局も合わせてお伝えします。どうぞよろしくお願いいたします。

岸田

よろしくお願いします。

上山

そしてもうお一方。永田町や霞が関に独自の取材ルートを持つ、元テレビ朝日政治部長でジャーナリストの末延吉正さんです。どうぞよろしくお願いいたします。

末延

よろしくお願いします。

上山

末延さん、まず政治では、風雲急を告げる動きと言いますか、末延さんの情報では一気にここに来て、きょうも含めて政局が動いているということですが。いかがですか。

末延

どこにも出かけられないコロナ禍の中で、オリンピックのテレビ観戦、みんな喜んでいました。私もそうなんですが、先週の真ん中ぐらいからの高市さんの件(月刊誌での出馬宣言)が出たのをきっかけに、永田町ではまだ全部表には出てませんが、このまま菅さんで秋に予想される選挙を戦えるかどうか、きちんと総裁選やらなきゃだめなんじゃないかという声が一気に出始めました。おそらく、お盆明けから政局になって、9月は自民党総裁選一色になっていく。一発目は、8月22日の菅総理の地元、横浜市長選。選挙期間中ですから予測はしませんが、候補者乱立で4分の1取れなくて再選挙の可能性もある。足元も揺らぐ。

そうするとどうなるかという時に、月末の26日に、じゃあ総裁選はどういう形でやるか、決めます。フルスペックの党員投票、地方の、コロナ禍における菅政権への不満がもう本当にマグマのように溜まってますので、菅総理が狙う無投票再選という流れは、そのまま行かないということになってきた、というのが私の見立てです。後ほど詳しくお話をします。

8月22日投開票の横浜市長選挙は、立憲民主党が推薦、共産党と社民党が支援した元横浜市立大学教授の山中竹春氏が初当選しました。菅総理が支援した前国家公安委員長の小此木八郎氏に18万票の差をつけての当選です。

■コロナ禍「より国民の気持ちに寄り添った説明を」

上山

自民党の総裁選をめぐっては、ここ1カ月ほど、無投票再選じゃないかと言われていたんですけれども、高市さんはじめ、かなり名乗りを上げる方が出てきた状況で、今、末延さんに解説をしてもらいました。ただ、まずは、日本が取り組まなくてはいけない課題、喫緊の課題といえば新型ロナの感染拡大をどう止めるのか、です。今週は、新型コロナの感染拡大に関しまして、患者の方々の入院をめぐって、菅総理の発言が非常に大きなニュースになりました。菅総理、「重症患者や重症化するリスクの高い方以外は自宅での療養を基本にする」という発言があったわけですね。その後、自民党内からも批判が相次ぎまして、原則、中等症以上は入院という形で、事実上内容が修正されました。

岸田さん、新型コロナに関しては、今、感染爆発が起きている状況で、確かに入院できるベッドの数が限られている。どのように国民にメッセージを発するのか、岸田さんはいかがお考えですか。

岸田

今、ご指摘があった、この言葉ですが、結果として中等症の方々をはじめ、一定の方々が切り捨てられるのではないかという国民の不安が広がってしまった、これは間違いないと思います。その後、今、ご指摘あったように、補足説明ですとか、あるいはこの修正、言葉の修正が行われました。その辺を考えますと、最初から説明の仕方として、医療のひっ迫を回避するために、軽症の方々中心に自宅療養に協力して頂きたいと思うけれど、でも入院が必要な方々には適切にしっかり対応していくから安心してもらいたいというような、より国民の皆さんの気持ちに寄り添った説明がされるべきではなかったかなと。一連の発言を振り返りまして、その説明のあり方ということでは思います。

上山

そういった自宅療養の方々が抱える不安に関しては、おそらくご自身の経験なども踏まえていらっしゃるんじゃないでしょうか。

菅原

先月のことを振り返えらせて頂きたいのですが、岸田さんの事務所では秘書2人が新型コロナウイルスに感染をしました。そして、岸田さんご自身も濃厚接触者として、2週間自宅隔離しました。こうした経験から、感じる部分というのはいかがですか。

岸田

そうですね。私はPCR検査においては陰性、要は、感染はしていなかったわけですが、濃厚接触者ということで、ルールに従って自宅で自粛をすることになった、こういったことですが、そのときの経験で申し上げるならば、その自宅にいた期間、絶えず情報が入るわけではありませんし、絶えず医療にアクセスできるわけでもありません。感染していないという検査の結果が出ている私ですら、自粛している間、もしかしたら実際にはかかっているかもしれないとか、色々不安の中に置かれるという経験をしました。ましてや、感染が確認されている方々が自宅で療養するという事になったならば、その不安というのは、かなり大きいものがあるんではないか、これは想像難くないと思います。やはり、そういった立場の方々の気持ちに寄り添った様々な対応、自宅療養ぜひ協力してもらいたいと言うのであるならば、情報提供ですとか、あるいは往診をはじめとする様々な医療へのアクセスの在り方とかですね、色々、合わせて、しっかりと用意をした上で、お願いをするということにしないと、多くの方々がますます大きな不安の中に陥れられてしまう。こういったことにもなりかねないなということは、私の経験からも感じたところです。やはり、この政治の立場から、感染された方々の思いに、しっかりと思いを巡らす、こうした丁寧さ、必要なんではないかなと思います。

■「ワクチン、医療体制、感染者抑制…三位一体で」

上山

そもそもですが、新型コロナに対しては今、ワクチンを主軸に置く形で政治が動いています。岸田さんは、どういった形で対応していくべきだとお考えですか。

岸田

まずワクチン、これは間違いなく大事な取り組みであり、しっかり進めなければいけません。しかし、現状、日本においては、ワクチンの接種、頑張って進めていますけれど、まだまだ全体から見た場合ですね、接種が済んでいない方々が大変多い、こういった状況にあります。こういった段階ですから、ワクチンの接種しっかり進めるのと合わせて、病床をはじめとする医療体制の拡充も進め、なお且つ、入り口の部分で新規感染者の方々をできるだけ抑えていく。国民の皆さんに協力を頂いて、マスクやうがい手洗い、これはもちろんですが、さらには様々な検査ですとか、水際対策ですとか、この新規感染症の数をしっかり押さえていく。ワクチンと、医療体制の充実と、そして新規感染者の数をしっかり抑えていく、この3つを今の段階では同時並行的に進めていかないと、全体としての安心に繋がらないのではないか。ワクチンが大事だということは間違いないと思いますが、ぜひ、この三位一体、このバランス、これが安心のためには大事ではないか。

上山

ワクチン一点突破ではないのではないか、というというご意見ですか。

岸田

ぜひ並行してやることがあるのではないか。それが安心に繋がるのではないか。

上山

岸田さんは、政調会長の時代から、かねてからこの新型コロナに関しては、未曾有の国難だと指摘してきました。まさに今、そういう状況になっているわけですけれども、こういった国難では、政治はどうあるべきなのか。改めて岸田さんはどのようにお考えですか。

岸田

国難にもいろんな国難があります。きょうはスタジオに、河野さんもおいでですが、安全保障上の国難もあれば、東日本大震災のような災害上の国難、さらにはリーマンショックのように経済における国難、色んな国難がありますが、今、我々が直面している、この感染症における国難、こういった国難においては、何と言っても国民の皆さんの協力なくしては、医療関係者、自治体関係者、そして多くの国民の皆さんの協力なくしては、この国難に向き合って、そして結果を出すことができない。

上山

強制する法律がないですからね。

岸田

この感染症の国難というのは、そういう国難だと思うので、こうした国難においては国民の協力が必要になる。この事を考えますと、政治の役割として、なんと言っても、国民の協力を引き出す政治、即ちやはり、国民との対話、意思疎通、国民の声をしっかり聞いて、そして環境整備をして、国民の協力を引き出す政治。これが何よりも求められるんではないか。当然、この日本のコロナ対策、いろんな議論があります。ただ国民の協力を基本として対策を進めていく、これが日本の対策の特徴でもあり、そして良いところでもあると思いますが、この日本の特徴をしっかりと活かすためにも、国民の協力を引き出す政治、これがこの感染症における国難において、特に求められる、このように思います。

菅原

その点、菅総理はどう見ていらっしゃるんですか。

岸田

菅総理、この最高責任者として大変、努力をされておられる。そして、色々と説明をされておられる。これは間違いないところですが、結果として、まだまだ国民の皆さんの気持ちに届いていない部分もある。これは謙虚に、我々、与党全体として受け止めなければならない部分ではないかと思います。ぜひ、こうした国民の協力が求められる、こういった国難にあるということを考えます時に、やはり政府を、しっかりと与党としてもバックアップしながら、国民に届く言葉、あるいは即、届く説明、こういったものをより進めるべく努力をしなければいけない。現状、そういうことであると思ってます。

■総裁選に高市前大臣が出馬へ 自民党内の見方

上山

まさに日本は今、新型コロナへの対応が喫緊の課題となっていますが、その一方で、政局は自民党総裁選をにらんで、ここ数日、本当に一気に動き出している状況なんです。菅総理の自民党総裁としての任期は9月30日、来月30日までです。これを踏まえて自民党では、自民党総裁選を来月29日に投開票で調整中と話が進んでいます。これを正式決定するのは8月26日ということですけが、さらに先を見ると10月21日には衆議院議員の任期満了も控えていて、解散、総選挙ということもありそうということで、政局は今激しく動いていると言えそうです。

来月下旬の自民党総裁選に向けて、菅総理と二階幹事長の動きですが、菅総理は早々に続投の意思を示しまして、その後、二階幹事長がそれを後押ししました。この2人で、無投票再選の流れを作ろうという動きがあるとされていたんです。ところが、ここ数日、新たな候補者が名乗りを上げそうという話が出てきました。先ほど、末延さんの解説にもありましたが、高市前総務大臣、総裁選への立候補に意思を示すということなんです。

菅原

高市前総務大臣ですが、10日発売の月刊誌で総裁選への立候補の意思を表明するということです。関係者によりますと「ニューアベノミクス」、安倍前総理の経済政策を新たにして打ち出す意向だということです。

上山

末延さんは、実はこの政局の行方、お盆明けに一気にコロナ政局だと指摘しています。まず高市さんについてですが、末延さん、前総務大臣ですけれど無派閥ということですよね。自民党の総裁選に立候補するには国会議員20人の推薦が必要で、これをひとつ、ハードルとしているわけです。これが叶わなくて断念する候補もいる中で、高市さんはまず、推薦人を集められるのか、それから高市さんの動きの背景には何があるのか、解説していただけますか。

末延

今度のオリンピックを巡っても、森元会長の女性に対する発言が問題になりました。女性がリーダーシップを取っていかなければいけない中で、高市さんが出馬表明をして掲げているのは「ニューアベノミクス」です。つまり安倍さんの路線を、経済をちゃんとやって、しかもコロナの問題を本質的に正したいということを言っているわけで、これを単純に、高市さんが1人で言っていると思う人はいないです。安倍さんとは当選同期で、保守系で、非常に信頼が厚いですし、高市さんはブレない。ここは後ろに安倍さんがついているだろうということが永田町の常識です。

先ほど、岸田前政調会長がおっしゃいましたが、特にコロナの問題で自宅療養でということを菅総理がおっしゃったときに、あれだけ大方針を変えたときに、きちんと説明されない。皆、自分の命に関わる話です。例えばドイツのメルケル首相も、他の皆さんも、海外のリーダーは大きく方針を変えたとき、パンデミックですから、誤った時、判断が違ったとわかったとき、状況が変わったから撤回して、訂正して方針を変えるということは、はっきりおっしゃるわけです。そういう意味で言うと、菅総理は実務家として非常に期待されて出てきたわけですが、安全安心という言葉を繰り返すけれど、根拠とか説明が国民の間で共感を呼ばない、あるいはコミュニケーションとして届いていない。そのことを永田町の政治家が秋にも解散総選挙があるという中で、気付いて動かざるを得ない状況になってきている。その1番手として高市さんが出てきた。

では高市さんだけで終わるかと、9月末の総裁選で地方党員は自らの1票を入れたいわけです。前回の1年前のように簡略化したやり方では、皆、納得しないです。そこでコロナ対策の抜本的な対策とその後の経済の問題を含めて、政局運営を含めて、どうやるのかを、きちんと自民党はやらなければだめだろうということで、高市さんが出てくると、これから国民人気で言うと石破さんも出てくる可能性があるし、あるいは河野さんも出てくるかもしれない。きょう出ておられる一番正統派、オーソドックスな岸田さんはあまり政局の話をされるのは嫌だと思いますが、政権運営や本来の保守政治はどうあるべきかという、今、国民から信用を失いつつあるコロナの問題で、大上段に振りかぶって、きょうはお話を伺いたいと、そういう意味で、政局の説明をしたということなんです。

上山

河野さんにもお話を伺いたいと思います。総裁選の政策論争ということでいうと、危機管理の在り方も重要な論点になるかと思うのですが、いかがですか。

河野

台湾問題が日米首脳会談で初めて取り上げられたんです。今後、台湾問題について日米同盟の方向性をしっかりと決めていかなくてはいけない、そういう時期にありますので、その辺はしっかりと議論していただきたいと思いますのと、私は岸田前政調会長と防衛大臣を兼務されている時にお仕えしていたんです。

 

その時、2017年の夏だったと思うんですけれども、私がたまたまアメリカに出張しておりまして、その時の大臣は稲田大臣でした。帰ってきたときには交代されていまして岸田大臣でした。外務大臣と防衛大臣を兼務するのは、なかなか厳しいと思うのですが、人によっては防衛大臣の兼務も短期間ですので、形だけという人もいると思うんですけれど、岸田大臣は毎日、防衛省に来られて、報告を受けられて、しっかり職務を果たされたと、私としては非常に心強かったです。

上山

岸田さんはこのとき、防衛大臣として短期間ですけれど、どういう思いで臨まれたのですか。この時は確か、ミサイルが…。

岸田

そうですね、就任した日の真夜中に北朝鮮がミサイルを発射して、朝の5時まで外務省と防衛省を行ったり来たりしながら情報収集や様々な指示を出す、大変な初日だった。外務大臣、防衛大臣兼務の初日の出来事として、それが強く印象に残っています。安全保障、危機管理、これはいつ何が起こるかわからない。やはり気を緩めることはできない、大変な仕事だなということを実感した、短い期間でしたが、そんな時期でありました。

■自民党内から「フルスペックの総裁選を」の声

上山

自民党総裁選を巡る情報をここで整理したいと思うのですが、党内の中での実力者、そして菅総理の動向を前提として押さえたいと思います。

菅原

総裁選を巡ってということになりますが、二階幹事長は菅総理大臣の無投票再選を打ち出しました。安倍前総理も5月の時点では菅総理の続投を支持しています。そして麻生副総理も前回の総裁選で菅総理を支持しています。一方、二階幹事長と、きょうゲストでいらっしゃる岸田さんの関係は、山口3区の公認の問題など火種がくすぶっていると伺っております。こうした中、政局が一気に動き出したということなんですが、末延さんこの構図が変わってきたということなんでしょうか。

末延

二階さんと岸田さんの場合は、二階さんは後ろで色々根回しするような、古いタイプの政治家です。それに対して岸田さんの場合は、伝統の宏池会を率いている穏健保守、政策を掲げるというところで、水と油だと思います。何が変わったかというと、そもそも1年前に菅政権を誕生させたのは誰だったのかという話に戻るわけです。この番組で最初やりましたが、「赤坂議員宿舎4人組」をやりましたね。

上山

こちらの方々ですね。

末延

これはポイントが二階さんであり森山さんなんですね。森山国対委員長はかつての田中角栄元総理側近の二階堂さんの薫陶を受けた人で、この人は歴代で最高の国対委員長だと思うのですが、裏側の根回しもできるけど、表もできる、政策もわかる人なんです。

森山さんを含む4人組が菅政権誕生の流れを作ったので、例えば、安倍前総理周辺なんかを取材すると、菅さんは結局たたき上げ組と気が合うのかなという愚痴も出るくらい。この4人が電光石火で菅政権を作ったんですが、このグループの中から最近、菅さんが頑固で何を言っても聞いてくれないということで、国民に総理の声が届いてない、選挙は大丈夫かということを伝えてもなかなか頑固一徹で動かないと。例えば、ワクチンやったらワクチンやっているからいいだろうとなってしまう、大丈夫かということで、盤石であるという見方が崩れ始めたのではないかということが永田町で急きょ流れてきた見方なんです。

上山

補足させてください。「赤坂議員宿舎4人組」というのは、去年8月、当時の安倍総理が退陣を表明した翌日、菅官房長官出馬に向けて赤坂議員宿舎で会合を開いた、当時の都賀官房長官を含む4人で、その結束は固いと思われていたんですが、実はこの辺りに今、綻びが出ているのではないかということですか。

末延

なぜ綻びが出るかというと、4人組以外に無派閥の菅総理を支えているのは、大きな派閥のトップである麻生副総理であり、安倍前総理です。この人たちは、菅総理が二階さんや森山さんの方に寄りすぎるのは好ましくないと思って見ていたわけです。今、コロナで大変だから、菅さんで行こうと思いながらも、国民から支持を失いつつあって、支持率も岩盤の30%を切ってきた。

国民の共感が得られなくなっている中で、このままではいけないのではないかということで、真っ先に動いたのが牧島かれんさんという自民党の若手の、青年局長です。この人は麻生さんの側近です。フルスペックで地方の声を聴く、総裁選をやるべきだということで動きました。

同時に、安倍さんと保守派として盟友関係と言ってもいいくらいの高市さんがここにきて出馬表明をしてきた。そうすると、どういうことが起きるかと言うと、無投票再選でと二階さんが当初考えた動きにはならない。地方党員というと、人気が依然としてある石破さんを二階さんたちが担ごうとするのではないか。その対抗で、安倍さんや麻生さんはオーソドックスな岸田さんで行くのか、それともネットなどで人気のある河野さんを担ぎ出すのではないかという。

私が心配しているのは、きょう、せっかく岸田さんが番組にお出になっているので聞きたいのは、もし石破さんや河野さんという、人気取りのような、自民党得意の表紙を変えるような総裁選をやるのなら、私は好ましくないと思っている。やはりコロナ対策の問題を、抜本的に政府が信用されなくなった問題を、どう克服するのか。それから格差が出ている中で、弱者に優しい資本主義を掲げてきた、ある意味では菅さんに対するアンチの政策として前政調会長の岸田さんがどうするのか、きょう、おっしゃりにくいかもしれないけれど、この辺をズバリ聞きたいということがきょう五輪の閉会式を見ないで、スタジオに来た私の気持ちです。

■「自民党総裁選 日程が決まれば立ち位置を」

上山

岸田さんも頷いていらっしゃいますが、いかがですか。

岸田

まず自民党総裁選挙というのは自民党が何を考えているか、あるいは自民党が国民に何を訴えたいか、これをしっかりとアピールする大変貴重な場であると思っています。ただ今は、新型コロナウイルスとの戦い、大変厳しい状況にある。よってコロナ対策との関係において、大切な自民党総裁選挙、どの順番でやるのか、あるいはどのタイミングでやるとか、これが今、議論されている。8月26日にそのスケジュールを決めようではないか、こういったことで議論が進められている、こういったことです。今それをしっかりと考えなければいけないわけですが、スケジュールが確定したならば、どのように、それぞれが関わっていくのか、総裁選挙に対する立ち位置を様々な自民党党員が考えなければいけない。これから9月、10月、期間が限られていますが、それをやらなければいけないということです。

上山

それというのは。

岸田

誰が出たから私も出るとか、そういうレベルで論じてはならない。まずは自民党の考え方をしっかり示す、大切な場である総裁選挙を、コロナとの関係において、いつ、どのようなタイミングでやるのか、これをまずはしっかり考えるべきだと思います。

末延

岸田さん、1点いいですか。1年前、コロナで大変だからと、総裁選を簡略化しました。結局、地方の声を聞くことがなかったですよ。やっぱり民主主義国家、日本は中国とは違うんですから、その声を、草の根の声を聞いた上でですね、抜本的な対策を立てないと。もうワクチンを始めたからいいだろうみたいな話ではいけなくて、これはまさに国家の安全保障、国民の命を守る話をしているわけで、そういう意味では、安倍さんや麻生さんも含めて、菅さんを全然ダメだというわけじゃないけど、今のやり方では限界があるんじゃないかという声が私は出てきていると思うんです。

その辺りを、タイミングを、これは政治ですから間違えずに、やっぱり岸田さんが、政策なり政権運営で何を変えなきゃいけないかを、きっちとと訴えられることが僕は重要だと思うんですけどね。

岸田

今の政治に対して自分がどう考えるか、これはもう絶えず政治家たるもの、考え続けて、そして、自らの政策を磨き続けなければいけない、そして、それをしっかりと明らかにし、そして、戦わせる総裁選挙、これをいつやるべきなのか。これはもうコロナとの戦い、国民の命が、暮らしがかかっているわけですから、それを最優先に考えなければいけない。8月26日までに、しっかり考えなきゃいけない、そういうことだと思ってます。

■「コロナとの闘い最優先 その上で総裁選いつやるか」

上山

ここ数日で、自民党総裁選をめぐっては非常に状況が変わってきました。岸田さん、自民党総裁選をめぐっては無投票再選かと思っていた中で、様々な方の名前があがり、自民党総裁選自体は行われそうだと、政策論争がこの場で行われるんじゃないかという状況になってきました。岸田さんとしては総裁選に出馬するのかどうか、いかがですか。

岸田

まず、総裁選挙は総裁の任期が来るわけですから,、必ずやらなければならない。ですから、コロナの状況がどうであっても、やらないということはないと思います。コロナの状況によって、いつやるか、どの順番でやるか、これを考えなきゃいけないということですから、やらないというものではないと思ってます。そして、その上で、やるとしたならば、それにどう関わるのか、そのタイミングをしっかり見極めた上で、それぞれ志のある人間がどうするのかを考える、こういったことであると思ってます。

上山

志のある人間として岸田さんは…。

岸田

今の段階は、先ほど言いました。まず第一段の状況ですから、私はまだ何も言っておりません。従来通りチャンスがあれば総裁選挙には挑戦したい。なぜならば、去年挑戦し、そして、思いをしっかり訴えさせていただいた。その後も政策をしっかり磨いてきたところを、しっかりとこの国民の皆さんにも訴えるチャンスがあれば、そのチャンスを頂きたいと申し上げていますが、今は、コロナ対策最優先であります。従来からそういった言い方をしておりましたが、今の段階では、その言い方に終始している。これからいよいよ具体的な日程が確定すれば、具体的な関わり方、決めたいと思います。

上山

日程が決まってくれば、具体的な関わり方、出るかどうか、この26日以降に日程が決まってきますが…。

岸田

日程が決まるまでは、今までの言い方を変えることはありません、ということです。

上山

末延さんはいかがですか。

末延

お盆に、みんな帰省しないでと。お酒も飲みに行けないっていう中でね、お盆が明けて、地元の声を色々聞いてくる政治家の皆さんは、やっぱり、自分の選挙が大変だと思ったら一気に動きますよ。そういう風に言うと、東京都議選勝負だと言いながら、菅総理は一度も街頭に出れなかった。小池さん最後に、ちゃっかり応援に行って勝っちゃってるわけです、都民ファーストが。そういうのを見ると、やはりトップリーダーが国民に直接訴えかけなきゃいけない時に、今の段階で菅さんが、全国遊動して訴える姿が想像しづらいですよ。その辺を考えた時に、岸田さんは、総裁選はあるんだって仰ったけど、二階さんたちが無投票で再選というレールを敷こうとして、それはおかしいだろうと、コロナの問題をしっかり話しくださいよと、経済の問題をしっかりやってくださいよと言うんで、自民党がもし人材が豊富で政権与党としての誇りを持っているなら、堂々と地方の声を聞いてやらなければいけない。本来ならば、ここで野党が出てきて政権交代というのが一番スッキリするんですが、なかなかそうならない状況の中で、自民党がしっかり議論して、しっかりと大きな、霞が関も含めて、安定的な正統派の政権運営をやってもらいたいと僕はそう思います。

■政権運営、政と官のバランスも「大変、重要」

末延

岸田さん1点いいですか。実は平成の時代に政治改革やってどんどん変わりました。その元はイギリスの議会制でした。イギリスでは官僚の中立性を守るための法整備とかですね、慣習法がたくさんあります。日本では最近、菅さんのやや強引的なやり方で、霞が関の萎縮とか官僚の自由度が奪われたと言われている。政局運営をどうオーソドックスなものにしていくのか、自民党全体で僕は考えてもらいたいと思っているんですがこの辺りどうですか。

岸田

はい。末延さんがおっしゃったように今、政治とその官僚のこのバランス、これは大変重要だと思っています。政治主導、もちろん大事なんですが、政治と官僚、政官の緊張感とバランス、これが大事なんではないか。どうもちょっと一方的な事になってしまっているんではないか。特に今、官僚の人材流出、若い人が官僚にならないとかですね、どんどんと流出してしまっている。こういったこと考えると、官僚の使命感とか、やりがい、こういったものをしっかりと大事にしながら、政官のバランス、緊張感、これを考えることが大事なんではないか。これは強く感じてます。

上山

岸田さんがおっしゃっている格差是正。このあたりもやっぱり国民の中には求める声があると思うんですけども、いかがですか。

岸田

そうですね、国民の皆さん、今、コロナの不安もありますし、心が疲れてる、こういった部分があるんではないかと思います。格差によって将来の不安もますます広がるということでは、なかなか先が見えてこない。是非、国民の心に寄り添う政治、これが今、求められているんではないかと思います。

自民党は8月26日、総裁選について9月17日告示、29日投開票の日程で行うことを決めました。この日、岸田文雄・前政調会長は、「自民党が国民の声を聴き、そして幅広い選択肢を示すことができる政党であることを示し、もって我が国の民主主義を守るため、自民党総裁選挙に立候補いたします」と出馬を宣言しました。

(2021年8月8日放送)