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動画公開のお知らせ

『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。



■『BS朝日 日曜スクープ』7月13日の放送内容は現在、公開中です。
【テキサス州の豪雨惨事】人員削減で統治機能に空白か”トランプ関税砲“が再び・・・
米南部テキサス州を襲った記録的豪雨により、7月3日から4日にかけて広範囲で洪水が発生し、現地当局によると、死者129人以上、行方不明者150人以上の甚大な災害となっている。被害が集中した同州カー郡では、女子を対象としたキリスト教系サマーキャンプ「キャンプ・ミスティック」で27人の少女が犠牲となった。トランプ大統領とメラニア夫人は11日、カー郡の被災現場を視察。今回の被害について、「政権による予算削減が被害を拡大させた可能性がある」と指摘している。
 
トランプ政権は、国立気象局(NWS)の監督機関である米海洋大気庁(NOAA)の年間予算約60億ドル(約8800億円)のうち25%を削減する方針を示しており、今年1月には、NWSではすでに職員4200人のうち600人、約14%が削減されている。この人員削減により、洪水発生前の予報精度が低下し、避難や対策が後手に回った可能性があると元政府高官や専門家は警鐘を鳴らす。気象学者の一人は、「(削減に伴う)人手不足で予報や警報の重要な要素を見落とした状況を作り出したかもしれない」と証言している。また、連邦緊急事態管理庁(FEMA)は即応体制を整えていたものの、初動対応の遂行ができなかった。ノーム国土安全保障長官は、10万ドル(約1470万円)以上の支出に長官の事前承認を義務付ける規定を導入。そのため、FEMAによる救助隊派遣の承認は、洪水発生から72時間後まで遅れたという。警報・注意報の発出遅延、初動対応の不備を記者団に指摘されると、トランプ氏は、「そのような質問をするのは極めて邪悪な人間だけだ」と答えた。
 
一方で、欧州の研究チームは今回の洪水に関する暫定的な分析として、「地球温暖化により降水量が増加したことが、被害の深刻化につながった」とする見解を公表。テキサス州における1950〜1986年と現在の気温・降水量を比較したところ、平均気温は1.5度上昇、降水量は7%増加しているという。2026年度予算案では、マイアミ大学のハリケーン研究部門を含む全米12以上の気象・気候関連施設への資金を削減。気候変動対策予算に対して、約2億ドル(約292億円)の削減を盛り込んだ。
 
トランプ氏は7月8日、新たな関税措置について、「日程の変更は一切なく、今後も延長や例外措置は認めない」と投稿し、8月1日に発動することを、自身のSNSで明言した。世界各国との交渉が不調に終わる中、米政府は第1弾として、14カ国に対し正式な関税改定の書簡を送付。日本とマレーシアについては、現行の24%から25%への引き上げを通告した。7月9日にはブラジルを含む8カ国に対し追加の書簡が発出された。注目されたのはブラジルへの大幅な関税引き上げで、現行の10%から一挙に50%へと引き上げる方針が明らかになった。これに対し、ブラジルのルラ大統領は、「我々の国家主権に対する干渉や脅迫は受けることはない」と反発。米国に対して報復関税を検討する姿勢を示した。
 
トランプ氏は、日本を含む主要貿易国に対し新たな関税措置を正式に通告し、日本に向けた書簡では、「日本には群を抜いて世界一の市場であり、並外れた米国経済にぜひ、ご参入いただきたい」と記したうえで、8月1日から米国に輸出されるすべての日本製品に25%の関税を課す方針を表明した。25%という税率については、「貴国との貿易赤字を解消する上で必要な数値をはるかに下回ることをご理解いただきたい」と書簡に記されていた。トランプ氏の書簡は、日本政府および経済界の間では強い反発と警戒感が広がっている。自民党の小野寺五典政調会長は8日、自身のSNSで「今回の発表は、外交上も極めて非礼な対応ではないか。正直、強い憤りを持っている」と苦言を呈した。経団連の筒井義信会長は10日、「日本経済への影響はこれまで以上の規模を想定している」と警鐘を鳴らした。そのうえで、実質GDP成長率については「年度ベースで1%前後の低下が想定される」との見解を示した。 
 
トランプ氏が8月1日からの発動を通告した25%の対日関税をめぐり、日本政府は強い反発の姿勢を示している。石破氏は9日、千葉県船橋市での街頭演説で、「(米国との関税交渉は)国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか」と語った。10日には、BSフジの報道番組『プライムニュース』に出演し、「米国依存からもっと自立するよう努力しなければならない」と述べたうえで、「いっぱい頼っているのだから言うことを聞けよということならば、侮ってもらっては困る」と述べ、従属的な対米構造からの脱却を強調した。これに対し、ルビオ国務長官は11日、「石破総理の発言は否定的にとらえるべきではない」と語り、問題視しない考えを明らかにした。また、ルビオ氏は、「そこにドラマや分裂を求めている人はそうすべきではない。日米関係は非常に強固だというのが真実だ」と述べた。さらに、ルビオ氏は、米国が日本に防衛費を大幅増額するよう圧力をかけているという報道にも反論、「米国は日本に特定の能力に投資するよう奨励しているものの、これは要求には当たらないと」と強調した。
 
★ゲスト:永濱利廣(第一生命経済研究所・首席エコノミスト)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所・上席研究員)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
 
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(公開期間は放送から2週間です)

 
 
 
【参院選中盤で各党が論戦激突】SNSが示す新論点“外国人との共生”有権者の視点
7月20日に投開票が迫る参議院選挙も中盤戦に突入し、与党が参議院で過半数維持ができるかが選挙戦における最大の焦点として注目を集めている。今回争われるのは、改選と非改選の欠員補充をあわせた125議席。選挙区と比例代表をあわせ、立候補者は過去最多の522人にのぼる。与党が過半数を維持するには、非改選の75議席とあわせて、自民・公明両党で50議席以上の獲得が必要となる。
 
各党のキャッチフレーズに多く見られるように、今回の選挙では公示前から「物価高対策」が最大争点として浮上していた。しかし、SNS上では新たな関心の兆しも見られる。ANNは、SNS「X」上で公示日から12日までのすべての投稿を分析。可視化されたデータでは、「外国人問題」への言及が顕著に増加している状況が確認された。公示直後の7月3日をみると、「消費税」や「減税」などの経済政策が大きく表示されていたが、12日では、「外国人問題」の投稿が最も多くなっている。
 
こうした社会的関心の高まりは、在留外国人の増加という現実が背景にあると指摘されている。厚生労働省の統計によれば、2024年10月末時点で、日本で働く外国人労働者の数は約230万人に達し、前年より25万人以上増加、過去最多を更新した。石破総理は7月8日、在留外国人問題に対して、省庁横断的に対応するため、司令塔機能を担う新たな事務局組織の設置を表明。これについて、林官房長官は、「一部の外国人による犯罪や制度の不適切利用により、国民の間に不安や不公平感が生じている」と説明し、対応の必要性を訴えた。外国人関連の制度見直しは、既に実務レベルでも動き出している。警察庁は、外国人が自国の運転免許を日本の免許に切り替える「外免切替」制度について、申請基準の厳格化を進める方針を固めた。これまでは、観光客など短期滞在者もホテル等が発行する証明書により、申請が可能だったが、今後については、住民票の写しの提示を原則とする方針が固まった。警察庁によると、2023年に外免切替で日本の免許を取得した外国人は6万8623人にのぼり、2015年比で2倍以上に増加。2023年の外国人による交通事故は7286件と増加傾向にあるという。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、鈴木哲夫(ジャーナリスト)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』7月6日の放送内容は現在、公開中です。
【大型減税法が成立】トランプ氏が署名“執念の説得工作”マスク氏との対立は再燃
米国独立記念日の7月4日、首都ワシントンは祝賀ムードに包まれる中、トランプ大統領は、自身の経済政策の象徴とも言える史上最大規模の減税法案に署名した。署名式には、空軍に所属する「B-2ステルス爆撃機」に搭乗し、イラン攻撃の実戦任務に従事した米軍兵士も招かれ、国家と軍への忠誠を象徴するかのような演出がなされた。トランプ氏は、「私たちは一つの法案にすべてをまとめた。これは前例のない、史上最大の法案だ」と宣言。今回の大型減税法は、個人所得税の恒久減税に加え、65歳以上の高齢納税者に対する控除の拡大、チップ収入への課税廃止、さらには社会保障受給者への課税撤廃などを含む、大規模かつ包括的な減税措置が盛り込まれている。一方で、その財源を巡っては早くも波紋が広がっている。CBO(米議会予算局)の試算によると、今後10年間で財政赤字は3兆4,000億ドル(約490兆円)に上るとされる。さらに、今回の大型減税法には、低所得層への食糧支援給付の削減、医療費補助の見直しによる政府支出の圧縮、再生可能エネルギーに対する税制優遇の撤廃、国境警備の強化と移民取締りの厳格化、また、安全保障分野では弾道ミサイル防衛計画などが盛り込まれている。署名前日の7月3日、トランプ氏は遊説先の中西部アイオワ州で、「2024年にアイオワ州民に誓った約束は、すべての主要なものは守られた。私は今、より大きな力を持っている。1期目も非常に成功したが、今期はそれを吹き飛ばす。おそらく、より重厚に、より力強くなったと思う」と自身の成果を訴えた。
 
振り返ると米下院は7月3日、トランプ大統領が推進する大型減税法案の採決を行い、賛成218票、反対214票という極めて僅差で可決された。共和党内からは2人の造反者が出た。前日2日の採決に必要な手続上の投票では、賛成182、反対206、棄権44と、法案の行方に暗雲が垂れ込めていた。こうした情勢の中、トランプ大統領は「何を待っているんだ? 何を証明しようとしている? MAGA(米国を再び偉大に)運動は満足していない。票を失うことになる!」と、採決直前に自らのSNSで共和党議員団に警告を発した。トランプ氏は7月2日午前5時より電話による説得工作を開始し、翌3日午前1時に至るまで、約20時間にわたり断続的に下院議員およびスタッフに連絡を取り続けた。説得の過程では、「予備選での対立候補の支援を辞さない」といった圧力を匂わせつつ、党内の造反を未然に抑え込む強硬な説得作業を展開していた。この執念の交渉により、法案はついに下院を通過。大統領自身の影響力が依然として共和党内で絶対的であることを、改めて内外に印象付ける結果となった。トランプ政権の1期目にホワイトハウス報道官を務めたショーン・スパイサー氏は、「就任から半年が経ち、はっきりしてきたことがある。ドナルド・トランプには逆らってはならない」と語った。
 
こうして、トランプ大統領が推進してきた大型減税法案が7月3日、ついに連邦議会を通過し、成立した。だが、低所得者層にとって不可欠な医療制度「メディケイド」には、支出削減を含む大幅な見直しが盛り込まれており、共和党にとって重大な政治的リスクを抱える内容と指摘されている。大型減税法に盛り込まれた医療制度改革では、メディケイドの就労要件の厳格化に加え、受給資格の確認を年2回に増やす措置が明記された。これにより、全米で7100万人を超えるメディケイド受給者のうち、約1200万人が医療保険を失う可能性があるとする試算も出ている。特に注目されるのは、受給者の多くが集中する選挙区。7月1日の米経済紙「ウオール・ストリート・ジャーナル」によると、メディケイド依存度の高い下院選挙区は145に上り、これは全選挙区の約3分の1に相当する。また、所得水準が最も低い56選挙区は、共和党の地盤と重なっており、制度変更による有権者の反発が、来年に控える中間選挙における与党共和党の足元を揺るがしかねない。医療制度改革の実施時期について、米CNNは7月3日、減税は早期に施行される一方、メディケイドに対する大幅な変更は、中間選挙終了後に先送りされる見通しだと報じた。大統領自身の発言との齟齬も浮上している。トランプ氏は3月10日、「私は社会保障、メディケア、メディケイドには手を出すつもりはない」と明言していたが、7月2日には、「メディケイドなどは削減されない。無駄と詐欺乱用の排除によって強化される」とトーンを変えている。

 
一方、トランプ大統領と実業家イーロン・マスク氏との確執が再び表面化している。連邦議会に提出された巨額の歳出を伴う新たな法案について、マスク氏は6月30日、自身のXにおいて、「この馬鹿げた支出法案を見れば、我々が無能政党による一党独裁国家に生きていることは明らかだ」と痛烈に批判した。トランプ氏は即座に反応。6月30日、自身のSNSで、「イーロンは歴史上、誰よりも多くの補助金を受けているかもしれない。補助金がなければ彼はおそらく店を閉めて、南アフリカに帰らざるを得ない」と攻撃した。さらに、トランプ氏は7月1日、「国外追放の検討は?」との質問に対し、「わからない。検討する必要がある」と応じた上で、「政府効率化省(DOGE)をイーロンにぶつけなければならないかもしれない」と揶揄するような発言を繰り出した。これに対し、マスク氏は7月1日に再びXを更新。「反論したい誘惑にかられている。本当に。本当に。でも今は我慢する」と不快感をにじませた。また、6月30日の投稿では、マスク氏は、「このバカげた法案が可決されれば、翌日にも『アメリカ党』が結成されるだろう」と、新党構想を示唆する発言も行っている。マスク氏はさらに、「2大政党制からの独立を望むか、自問自答する絶好の機会です」と呼びかけ、X上で「アメリカ党を創設すべきか」というアンケートを実施。そして5日、マスク氏はXで「アメリカ党」を結成したと発表した。2026年の中間選挙に向けて、トランプ大統領に対抗する政治勢力を築く可能性もある。
 
★ゲスト:ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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【参院選で与野党が決戦の夏】遊説奔走の党首“舌戦が本格化”与党過半数の維持は?
参議院議員選挙が7月3日に公示され、与野党は125議席をめぐる戦いに突入し、公示後初の週末を迎えた。改選は選挙区74、比例区50に加え、非改選の欠員1を含む計125議席だが、与党が非改選を含め過半数を維持できるかが最大の焦点となる。
 
選挙戦の主な争点の一つが、国民生活を直撃する物価高騰への対応策。各党のキャッチフレーズには、家計支援への姿勢が色濃く表れた。自民党は「日本を動かす、暮らしを豊かに」を掲げた。公明党は「やると言ったら、やり切る。」と実行力を強調する。一方、立憲民主党は、「物価高から、あなたを守り抜く」として、消費税減税を含む直接的な支援策を強調。日本維新の会は「社会保険料から、暮らしを変える」として制度改革を前面に出す。共産党は「物価高騰から暮らしを守り、平和で希望が持てる新しい日本を」と訴え、れいわ新選組は「れいわ、以外ある? さっさと消費税廃止、もっと現金給付」と政策を打ち出す。国民民主党は「手取りを増やす夏。」と実質賃金の向上を主張する。さらに、参政党は「日本人ファースト」、社民党は「がんこに平和、ミサイルよりコメを!」、日本保守党は「日本を豊かに、強く」と、それぞれに訴えた。
 
522人が立候補している今回の選挙戦では、与党は非改選の75議席を含め、過半数維持には50議席以上の獲得が必要とされる。特に注目されるのは「1人区」と呼ばれる改選定数1人の選挙区。全国に32ある1人区のうち、16選挙区では主要野党が候補を一本化して与党に挑んでいる。物価高対策では、消費税のあり方が大きな争点の一つ。自民・公明の与党は消費税減税には否定的で、給付金などによる対応を主張する。一方で、立憲民主、日本維新の会、国民民主、社民、日本保守は、期間限定を含む消費税減税を公約に掲げている。さらに、共産党、れいわ新選組、参政党は、消費税の廃止を目指す姿勢を鮮明にしている。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、牧原出(東京大学先端科学技術研究センター教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』3月23日の放送内容は現在、公開中です。
【中国に対峙する台湾・金門島】戦跡が物語る“砲撃の記憶”防衛拠点の現実と島民生活
中国福建省の廈門(アモイ)から約5キロの距離に位置する台湾・金門島。人口は約14万人、面積は150平方キロメートルの小さな島で、基幹産業の観光と漁業で発展を遂げてきた。金門島は長年、中国との緊張関係の中で、重要な軍事拠点として機能してきた。最盛期には、約14万人が駐留していたとされる軍隊は、約3000人まで縮小されたが、現在も、島の重要な防衛を担っている。
 
かつては、砲撃戦が繰り広げられた歴史がある。金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となった。古寧頭戦役では、中国・人民解放軍が金門島に上陸し、蒋介石が率いる国民党軍と激しい戦闘を繰り広げた。この戦いで、国民党軍が防衛の成功を収めた。金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込んだ。島内には、防空壕、砲弾の残骸などの軍事遺構が数多く残されており、戦争の記憶を今に伝えている。
 
★ナレーター:佐分千恵
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2024年11月17日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定
「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。
 
事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。
 
加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。
 
加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。
 
加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。
 
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年9月10日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆
2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。
 
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。
 
加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。
 
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
 

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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年8月13日の放送内容は現在、公開中です。
【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆
遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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