番組表

動画公開のお知らせ

『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。


■『BS朝日 日曜スクープ』10月12日の放送内容は現在、公開中です。
【自公協力26年間に幕】政治とカネで決裂“不協和音が顕在化”連立解消に至る背景は
自民党の高市早苗総裁と公明党の斉藤鉄夫代表は10月10日に会談し、連立政権の継続をめぐって協議を行ったが、意見の隔たりは埋まらず、両党の連立関係が決裂した。斉藤氏は会談後、記者団に対し「我々の要望に対して、自民党から明確かつ具体的な協力が得られなかった。改革が実現不可能なのであれば、とても首班指名で『高市早苗』と書くことはできない」と述べ、連立合意の「白紙」を宣言した。今回の会談において、公明党が要請したのは、企業・団体献金の規制強化、政治資金収支報告書の不記載問題の全容解明の2点。これに対し、自民党側は企業・団体献金の規制強化について、「基本的には、これから検討する」と述べるにとどめ、不記載問題についても「すでに決着済み」との立場を示したとされる。
 
斉藤氏はこれを受け、「(自民党は)『検討する』『検討する』。地方議員の声を聴かなければならないと1年前から言っている。何も行われない現実もある」と強い不満を表明した。さらに、不記載問題への姿勢についても「国民の感情とかけ離れており、これでは政治への信頼回復はおぼつかない」と批判。「自民党の不祥事を国民に説明し、応援することに地方議員を含め限界がきているのが現状だ」と語った。
 
これに対し、高市氏は党本部で記者団の取材に応じ、「私と幹事長と二人だけで政治資金規正法の細部に至るまで決めて帰ったら、まさに独裁でございます。それは、私はいたしません。党内の手続きをきちっと踏まなければ、他党と協議するにしても、責任のある自民党の姿勢は示せません」と述べ、拙速な合意形成を避け、適正手続きの必要性を示した。高市氏はさらに、「一方的に連立離脱を伝えられた」と主張。公明側の対応を明らかにした。これに対し、公明党の斉藤氏は「一方的に通告したわけではない。ずっと前から問題提起を重ねてきた」と反論。協議の過程をめぐっても、双方の主張は食い違った。
 
また、高市氏は「例えば総裁が私でなかったら、このような連立離脱ということはなかったのですかと伺いました。また、仮に総裁が代われば、再び連立協議を行う可能性はあるのかと尋ねました」と述べ、斉藤氏とのやり取りの一部を明らかにした。これに対し、公明党側は「今回の総裁選挙で誰が選ばれていても同じです」と説明したという。
 
自民と公明の関係悪化は、突然の決裂ではなく、ここ数年にわたり積み重なった不信感が背景にあると見られている。2023年9月、麻生太郎氏は、「公明党は(反撃能力の保有は)専守防衛に反するとして最後まで動かなかった。一番上の人たち、その裏にいる創価学会も含めて“動かなかったがん”だった」と述べ、公明党の幹部に異例の厳しい言葉を投げかけていた。
 
選挙区擁立をめぐり自公間に決定的な亀裂が生じる事案も発生していた。2023年、衆院小選挙区の「10増10減」によって新設された東京28区をめぐり、公明党は自前候補の擁立を目指した。だが、自民党側の賛同を得られず、最終的に断念に追い込まれた。当時の公明党幹事長だった石井啓一氏は、「東京における自公の信頼関係は地に落ちた」と強い言葉で批判した。当時、自民党東京都連会長を務めていたのが、萩生田光一氏だった。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)、牧原出(東京大学先端科学技術研究センター教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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(公開期間は放送から2週間です)

 
 
 

【自公決裂で野党結集訴え】立民が国民・玉木氏で“一本化提案”総理指名の行方は?
10月20日以降に召集が予定されている臨時国会をめぐり、自民党は立憲民主党との国対委員長会談で、20日にも臨時国会を召集し総理指名選挙を実施したいとの意向を伝えた。外交日程では、今月27日にもトランプ米大統領の来日が調整されており、日米首脳会談や補正予算の編成作業など、政治日程はすでに逼迫している。自公連立の枠組みが崩壊したことで、総理指名選挙の構図は変化する。公明党の斉藤鉄夫代表は、連立解消を表明した後の会見で、「とても首班指名で高市早苗と書くことはできない。公明党代表である斉藤鉄夫に票を投じます」と明言した。
 
総理指名選挙は、衆参両院で記名投票によって行われる。過半数を得た候補者が総理に指名され、過半数に届かない場合は上位2名による決選投票を行い、多数を得た方が次期総理に指名される。衆参で異なる場合は衆院が優越される。公明党の離脱により、与党勢力は衆議院で196議席に減少。一方、立憲、国民、維新の党を合わせた野党勢力は210議席に達し、自民を上回る。さらに、今回離脱した公明(24議席)が野党側に回れば、合計は234議席となり、衆院の過半数(233議席)を超える。
 
共同通信によると、高市氏は総裁選翌日の10月5日、国民民主党の玉木雄一郎代表と東京都内で極秘に会談していた。両者は、今後の政策協力を視野に入れ、連携を模索したとみられる。また、6日には、麻生太郎最高顧問と榛葉賀津也幹事長が会談。総理指名選挙、物価高対策などの補正予算案の編成に向けた連携について協議したとみられる。しかし、10日の公明党による連立離脱表明によって、事情は一変した。玉木氏はその後の取材に対し、「(自民党との連立協議について)我々が仮に加わっても過半数に届かず、あまり意味のない議論になってきている」と語った。
 
臨時国会を目前に、野党側の動きが活発化する。立憲民主党の野田佳彦代表は、「日々、野党連携についての理解が各党の中で深まってきている。今日の現実を踏まえれば、より変化が出てくると思う。丁寧に協調・共闘を呼び掛けていきたい」と述べ、協力体制の強化を強調した。一方、総理指名選挙で名前が取り沙汰されている国民民主党の玉木雄一郎代表は、「内閣総理大臣を務める覚悟はあります。あるからこそ、総理というのはこの国に起こるすべてのことに責任を負う主体だと思っている」と述べた。
 
玉木氏は、立憲との連携については慎重な姿勢を示した。玉木氏は、「国家の運営について最も重要な基本政策をあいまいにせず、安全保障とエネルギー政策については同じ方向で歩むということを、党内で機関決定していただきたい」と立憲に要請した。一方、立憲の野田氏は、「玉木さんは重要政策の違いと言っているが、合意文書を交わしていることをお忘れになっては困る。少なくとも共有部分は確認できている。決して水と油ではない」と話した。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、林尚行(朝日新聞コンテンツ政策担当補佐役)、牧原出(東京大学先端科学技術研究センター教授)
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■『BS朝日 日曜スクープ』10月5日の放送内容は現在、公開中です。
【自民党新総裁に高市早苗氏】決選で小泉氏下す“麻生氏が一手” 逆転劇の舞台裏は?
石破総理(総裁)の退任表明に伴う自民党総裁選挙は10月4日に実施され、決選投票の結果、高市早苗前経済安全保障担当大臣(64)が、小泉進次郎農水大臣(44)を破り、第29代総裁に選出された。高市氏は15日に召集が調整されている臨時国会において、第104代内閣総理大臣に指名される見通しで、実現すれば、日本初の女性総理となる。高市氏は昨年の総裁選にも挑み、1回目の投票では石破茂総裁を上回り首位に立ったものの、決選投票で逆転を許し、惜敗の苦杯を喫した。今回、結党70年を迎える節目の年に、自身3度目の挑戦にして念願の総裁選で勝利を収め、女性初の党総裁に輝いた。高市新総裁は選出後、決意表明の中で、「私は約束を守ります。全世代総力結集で、全員参加で頑張らなきゃ立て直せませんよ。だって、人数少ないですし、もう全員に働いていただきます。馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて働いて参ります。」と語り、国家と党運営に対する気迫と覚悟を示した。
 
一方、高市早苗新総裁に敗れ、最年少44歳での総裁就任はならなかった小泉進次郎氏は総裁選後に取材に応じ、「もう感謝の一言。このチームが昨年たどり着けなかった決勝まで私のことを押し上げてくれた。そのことに感謝の気持ちでいっぱいだ。その分、勝てなくて本当に申し訳ない。改めて昨年に続き、自分の力不足。これにしっかりと向き合いたいと思う。そしてもう一回、自民党が信頼回復できるように、全員が持ち場・持ち場でその役割と責任を果たす」と敗戦の弁を述べた。高市総裁誕生の後に記者団の取材に応じた林氏は、「残念な結果だったが、ひとえに私、候補者の至らないところが唯一の原因だと思っている。ぜひ、お支えいただいた皆様とともに高市新総裁をお支えして、自民党一致団結して、いろいろな難しい仕事が控えているので一つひとつの仕事をやっていく、そういうことを一生懸命やっていきたい」と述べた。
 
高市氏は1回目の投票で1位の183票(党員119 議員64)を獲得。議員票は小泉氏、林氏に次ぐ3番手だったが、圧倒的な党員・党友からの支持を得て、決選投票でも議員票149票、都道府県連票36票の185票を獲得した。156票だった小泉氏の議員票145票、都道府県連票11票をともに上回る圧勝となり、総裁の座を手にした。第1回目投票で、3位の林芳正官房長官は、議員票72票、党員票62票の合計134票。4位の小林鷹之元経済安保担当大臣は、議員票44票、党員票15票の合計59票。5位となった茂木敏充前幹事長は、議員票34票、党員票15票の合計49票。
 
自民党総裁選は、党員票で優位を確保した高市早苗氏が決選投票で勝利を収め、日本初の女性総理への道を切り開いた。その背景には、党内の実力者の一人である麻生太郎元総理で党最高顧問の影響力が色濃く作用していたとされる。麻生氏は自身が率いた麻生派(旧志公会)所属議員に対し、決選投票では「党員票が多い候補を支持するように」と明確な指示を出したとされている。この一言が、高市氏の勝利に直結したとみられている。麻生氏の明確な支持が打ち出されたことで、議員票の流れが一気に高市氏へ傾いた可能性は否めない。
 
農水大臣の小泉氏は有力候補と目されたものの、決選投票で高市氏に敗北。昨年の初出馬で3位に沈んだ雪辱を期して挑んだ2度目の戦いだったが、頂点には届かなかった。選挙期間中、小泉陣営は「ステマ指示問題」や、地元・神奈川での党員票をめぐる疑惑が週刊誌報道で表面化した。加えて、昨年の積極果敢な改革路線を後退させ、党内融和を重んじた慎重姿勢が「進次郎らしさ」を削ぎ落としたと指摘されている。前回の総裁選では、解雇規制見直しや選択的夫婦別姓など党内対立を孕むテーマに正面から挑み、改革派として存在感を放った。しかし、今回の討論会では原稿に目を落とす場面が目立ち、「カンペ批判」すら呼んでいた。
 
高市氏は、奈良県出身の1961年生まれ、64歳。衆院で当選10回。神戸大学経営学部を卒業後、政治家や経営者を数多く輩出した「松下政経塾」に入塾。1990年には、テレビ朝日「朝まで生テレビ」などに政治評論家として出演。ニュース・キャスターとして活躍した後、1993年の衆院選で無所属から立候補し初当選。その後、自由党、自由改革連合、新進党の結党メンバーとして活動し、1996年に自民党に入党した。2006年には当時の安倍晋三内閣で内閣府特命担当大臣として初入閣を果たし、政界に確固たる地歩を築いた。2012年には女性として初めて自民党政務調査会長に就任。2014年に総務大臣、2022年には経済安保担当大臣を歴任するなど存在感を示してきた。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、佐藤千矢子(毎日新聞専門編集委員)
★アンカー: 末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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【高市新総裁に公明が連立懸念】靖国参拝と不記載問題“協議に暗雲”迎える難路は?
自民党新総裁の選出を受け、政権運営に向けた具体的な日程が動き出す。党役員人事を固めたうえで、今月15日から17日の間で臨時国会が召集され、総理大臣指名選挙が行われる見通し。新総裁は、第104代内閣総理大臣に指名され、直ちに新内閣を発足させる。それまでの間、新総裁は公明党をはじめとする与党内協議に加え、野党とも政策協議を重ねるとみられる。連立の枠組み、外交・安全保障、経済政策など、直面する課題は多岐にわたる。
 
自民党新総裁に選出された高市早苗総裁を待ち受ける最大の試練として、公明党との連立関係の行方だ。9月7日、公明党の斉藤鉄夫代表は、自民党との連立の在り方について記者団に対して、「公明党として連立政権を組むのであれば、保守・中道路線、私たちの理念に合致する方でなければ当然、連立を組むことはできない」と牽制した。高市氏の総裁就任を念頭に、明確に懸念した発言と受け止められている。これに対し、高市氏は19日の出馬会見で、「今や様々な保守政党が登場している。私はむしろ、穏健保守あるいは中道保守に位置づけられるのではないかと考えている」と述べていた。
 
就任直後から連立維持に向けた姿勢を示していた高市氏は総裁選終了後、即座に公明党・斉藤代表との会談に臨んだ。斉藤代表は高市総裁に対し、公明党として見過ごせない政治資金収支報告書などに関する「不記載問題」へのけじめ、歴史認識と靖国神社参拝の是非、また、外国人との共生に関する政策姿勢の「三つの懸念」を伝えた。斉藤代表はさらに、「わが党支持者からも大きな不安と懸念が寄せられている。これを解消しない限り、連立政権の維持は困難だ」と連立解消の可能性も示唆した。
 
高市氏は出馬会見で、「自公連立は基本です。その上で、基本政策が合致する野党とであれば、連立政権を組むことも視野に入れ、進めていきたい」と述べていた。この発言は、公明党との協力を基盤としつつも、場合によっては他党との新たな連立を模索する姿勢を示したものと受け止められている。自民党の新たな連立相手として最も注目されていたのが日本維新の会。吉村洋文代表は最近、自民との連携に前向きな姿勢を明確にしていた。9月26日には「新総裁から政策協議、連立打診があるのであれば、協議するのは当然だ」と述べ、29日には「基本的な外交・安全保障、憲法の価値観は、自民党と維新はもともと近い」と語っていた。ただし、維新が連立に参加する条件として掲げているのは、社会保険料を引き下げる制度改革、そして首都機能の一部を移す「副首都構想」の合意。吉村代表の積極姿勢の背景には、総裁選で惜敗した小泉進次郎氏との良好な関係があると見られている。
 
自民党新総裁に就任した高市早苗氏に、早くも、外交力が試される局面が訪れようとしている。日米両政府は、トランプ米大統領が10月27から29日の3日間の日程で来日する方向で調整している。日米間の最重要課題の一つである防衛費問題が議題に上るのか。6月20日付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、米国が日本に対し、防衛費をGDP比3.5%まで引き上げるよう求めたことにより、日本政府は7月1日に予定されていた外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)への参加を見送ったと報じていた。防衛費をめぐる圧力は、日米同盟の行方を左右する現実的な課題となっている。こうした中で、高市氏は9月19日の出馬会見で、防衛費増額について、「最新鋭の兵器も備えなければならない。それからスタンドオフ能力も持たなければならない。もしかしたら3.5%よりも高いかもしれないし、低いかもしれません。しっかりと積み上げた上で対応していく」と述べていた。
 
★ゲスト:久江雅彦(共同通信特別編集委員)、佐藤千矢子(毎日新聞専門編集委員)
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■『BS朝日 日曜スクープ』3月23日の放送内容は現在、公開中です。
【中国に対峙する台湾・金門島】戦跡が物語る“砲撃の記憶”防衛拠点の現実と島民生活
中国福建省の廈門(アモイ)から約5キロの距離に位置する台湾・金門島。人口は約14万人、面積は150平方キロメートルの小さな島で、基幹産業の観光と漁業で発展を遂げてきた。金門島は長年、中国との緊張関係の中で、重要な軍事拠点として機能してきた。最盛期には、約14万人が駐留していたとされる軍隊は、約3000人まで縮小されたが、現在も、島の重要な防衛を担っている。
 
かつては、砲撃戦が繰り広げられた歴史がある。金門島は1949年の古寧頭戦役、1958年の金門砲戦という2つの戦いの舞台となった。古寧頭戦役では、中国・人民解放軍が金門島に上陸し、蒋介石が率いる国民党軍と激しい戦闘を繰り広げた。この戦いで、国民党軍が防衛の成功を収めた。金門砲戦では、人民解放軍は、金門島に44日間で47万発超の砲弾を撃ち込んだ。島内には、防空壕、砲弾の残骸などの軍事遺構が数多く残されており、戦争の記憶を今に伝えている。
 
★ナレーター:佐分千恵
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2024年11月17日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定
「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。
 
事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。
 
加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。
 
加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。
 
加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。
 
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年9月10日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆
2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。
 
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。
 
加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。
 
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
 

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■『BS朝日 日曜スクープ』2023年8月13日の放送内容は現在、公開中です。
【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆
遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
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