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#189

熟練大工も思わず泣いた 馬込文士村の生き残りの家

大正から昭和にかけ 多くの作家や画家たちが暮らした東京・大田区馬込は
当時、馬込文士村と呼ばれ多くの文士たちが互いの家を行き交い、文学談義や時にはお酒を飲んだりダンスをしたりしていたそうです。
今回、明治11年にこの地に建てられた古民家にお住まいのU邸を訪ねます。
お父さまから「この母屋だけは残して欲しい」と言われ続けたUさんは
曽祖父が建て祖父、父と代々受け継がれてきた築145年の古民家を
伝統的な工法を活かしながら、最新の知識と技術でリモデルしました。
 
大きな課題は断熱と耐震でした。サッシは、四季折々の庭の景色を楽しめるよう断熱性の優れた大きな窓に変更。
さらに機密性に優れた扉や床下にエアコンを組み込んだ斬新なアイデアで暖房を取り入れ、一年を通して過ごしやすい空間に一新しました。
耐震補強も構造の専門家に依頼し、床下をコンクリート基礎にするなど現代の耐震基準に合わせました。古民家でしか味わえない風情を残しつつ、現代の最新技術をフルに活かした改修は、2022年には日本エコハウス大賞のリノベーション部門で最優秀賞を受賞。
先代の思いを引き継ぎ、職人さんたちの熱い思いで実現したこのリモデル。
天井を見上げると、当時の大工さんが1枚1枚丁寧に葺いたという「とんとん葺き」が。そんな天井を眺めながら、過去に思いを馳せる、ゆったりと心地良い時間が流れる住まいになりました。
将来は、今回のリモデルの経験を活かし、敷地内の他の建物を社会貢献できる施設などに造り変えるという構想も。
新たな形に生まれ変わりながらその先の未来へ受け継いでいく。
「夢」が膨らむリモデルでした。
 
施工担当: 関尾英隆
あすなろ建築工房 https://www.asunaro-studio.com/

【平面図】

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