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#225

通学路にあったニコイチ長屋を 先輩と甦らせた橿原の家

大和三山が鎮座し、古の時代がしのばれる奈良県橿原市。7世紀末、「藤原京」が築かれると、東西南北を結ぶ主要な道路がさらに整備され、交通の要衝として発展してきました。日本で初めての交差点として知られる「八木札の辻」は、江戸時代になると、お伊勢参りや吉野や熊野を目指す参拝客で大変な賑わいだったそうです。
 
今回はこの橿原市に建つ築87年の長屋をリモデルされたMさん一家を訪ねます。M邸が建つエリアは、伝統的な歴史ある街並みが残り、宿場町として栄えた頃の面影を見ることが出来ます。またM邸のすぐ近くには、ご主人の出身校でもある奈良県内屈指の伝統校、畝傍うねび高校の校舎も。今回リモデルした長屋は、その教職員のために、昭和の戦前期に5軒並んで建てられたニコイチ長屋でした。しかし、長く放置されていたため痛みが激しく、近年は、古い家を保護するための手だてがない中、急速に取り壊しが進んでいたそうです。そこで、古い街並みが好きなMさんご夫妻は、古い家屋の保存などに役立ちたいと、廃屋寸前だった、ニコイチで連なる長屋の片側を購入しリモデルしたのです。
設計を担当したのは奈良県出身の山本嘉寛さん。実はなんと、山本さんも畝傍うねび高校の卒業生。学生時代、毎日のように通っていた通学路に建っていたボロボロの長屋を、時を経て、施主のMさんは「まさか自分が住むなんて」、
建築家の山本さんは「まさか自分が設計するなんて」と互いに驚いたそうです。
30年間放置され、閉ざされていた窓から、今では2人の子どもたちが通学途中の学生達に「おーい」と呼びかけ、挨拶を交わしているとのこと。「家」が豊かな街並みをつくり、街が世代を超えて人を繋げていく、街と人との繋がりに心温まるリモデルとなりました。
 
設計担当:山本嘉寛さん/ 山本嘉寛建築設計事務所 yyaa
https://yyaa.jp/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after