放送内容

#28

独立時計師 牧原大造

メーカーに所属せず、高い技術力で独創的な作品を一から作り上げる、最高峰の時計職人「独立時計師」。その時計には、数億円もの価値が付けられる事もある。
スイスに拠点を置くAHCI「独立時計師アカデミー」が認定する会員は世界で40名足らず。その世界最高峰の時計師集団に日本人で3人目に認定されたのが、牧原大造(43)。
 
「世界でも類のない時計を作りたかった」
そう語る牧原の時計の特徴。1つ目は時計の顔である文字盤に伝統工芸の江戸切子を用いる事。2つ目はムーブメント(時計を動かす機械部分)に鮮やかな模様をあしらう精密な彫金技術だ。 
2018年、牧原は卓越した技術力と日本の伝統工芸が融合させた「菊繋ぎ紋 桜」を発表。
翌年に開催された世界最大の時計見本市バーゼルワールドに出展されるや大きな話題をさらった。以降、牧原の元には、国内外問わず多くの注文が届いている。
 
その経歴は異色。高校卒業後、8年間料理人として勤めた。しかし、時計の専門学校があると知り、27歳で入学する。すると在学中、TV番組の企画で、憧れのスイスの独立時計師、
フィリップ・デュフォー氏に会える機会に恵まれた。この出来事が牧原を独立時計師の道へと決定づけた。
そんな牧原が時計作りで大切にしている事。それはどこから見ても美しい部品作り。
金属の板材から部品の穴あけ、削り出しを行い、ひとつの部品を何日もかけて丁寧に磨き上げていく。この作業を「時計に魂を込める為」と語る牧原。徹底した手作業に込めた思いとは。番組はその制作工程に密着。世界が評価する最高峰の腕時計が出来るまでを追った。