放送内容

#32

西陣織「細尾」12代目当主 細尾真孝

約1200年もの歴史を持つ京都の伝統工芸“西陣織”。
美しく染められた糸を用いた豪華絢爛な織物で、京都が都だった時代は朝廷や貴族、寺社仏閣の関係者などの富裕層がこぞって注文していた。
 
この西陣織に関して、今、世界から注目を集めているのが、細尾真孝(44)。
1688年に創業した老舗「細尾」の12代目当主だ。
 
先月「細尾」は、東京初出店となる店舗を東京ミッドタウン八重洲内にオープンし話題に。
 
伝統産業が苦戦を強いられている昨今、どうしてここまで成長できているのか?
そのキーワードとなるのが『テクノロジーとの融合』
 
アーティストや数学者とのコラボを積極的に行い、西陣織の技術をいち早く世界に展開。
ディオールやシャネルなど、世界の一流ブランドの店舗や、ザ・リッツ・カールトンなど5つ星ホテルの内装に供給している。
 
2012年、京都伝統工芸の後継者6人によるクリエイティブユニット「GO ON」を結成。
2017年には、パナソニック社とGO ONのコラボで、テクノロジーと西陣織を掛け合わせた「触れると音が鳴る織物のスピーカー」を制作、イタリアで行われた世界最大級を誇るデザインの祭典では、最もメッセージ性の高い作品に贈られる“ベスト・ストーリーテリング賞”を受賞した。
 
また、現代では絶滅危惧種となっているが、奈良・平安時代では、織物の染色に使用されていた“ニホンムラサキ”の栽培に成功。
1000年ほど前に実践されていた古代染色の再現・研究を進めている。
 
“西陣織”という伝統を守るため、新たな可能性を探求し続ける細尾の挑戦に迫った。