番組表

放送内容

#113

尺八演奏家 野村峰山

その長さがおよそ一尺八寸(約54cm)であることから名がついた「尺八」。
江戸時代に主に虚無僧が演奏した法具として知られ、明治時代以降に楽器として一般に広まった。
日本古来の楽器として、これまで6名の人間国宝(重要無形文化財保持者)が誕生。現在そのうち唯一存命するのが野村峰山(68)だ。
 
尺八愛好家の父の元、小学生の頃から尺八に親しんだ野村。
若くからその才能を発揮し、18歳で第1回都山流尺八本曲コンクール全国大会にて金賞を受賞。20歳で人間国宝・初代山本邦山氏に師事すると、39歳で尺八最大の流派・都山流の最高格、竹琳軒大師範にまで上り詰めた。
洗練された首の動きや息遣い、指遣いを駆使し、繊細で淀みのない音色を奏でる野村の演奏技術は、都山流尺八において随一だ。
 
伝統を尊重しつつ、現代音楽も取り入れ、これまでオーケストラとの合奏や海外での公演など、ジャンルや文化を超えて尺八の魅力を発信してきた。
現在50名ほどの弟子を持ち、技術を惜しみなく後進に伝えている。
弟子たちで結成した若手尺八グループ「竹の新選組」を主宰し、より幅広い層へ尺八の魅力を発信するべく活動。2018年には一般社団法人「日本尺八ネットワーク」を発足し、奏者人口が減っている尺八業界全体を盛り上げるべく、流派を超えた交流やイベントを推進している。
 
「年間を通して満足のいく演奏はほとんどない」と語る野村。
人間国宝でありながらも謙虚に尺八の技術を追究し続け、尺八をポピュラー音楽にするべく尽力する名人の日々に迫った。