番組表

放送内容

#128

衣装デザイナー 中原幸子

舞台において、物語の世界観を作りだす重要な存在が「衣装」。
舞台「千と千尋の神隠し」や「キングダム」など、数々の話題作を手がける衣装デザイナー、中原幸子。ポリシーは、役者によって同じ役でも衣装を変えること。原作に忠実に再現することよりも、「この役者がこの衣装を着たらどう見えるか」を考え抜く。
また、稽古の映像を繰り返し見返し、演者の動きや癖を観察し、その人の呼吸や癖までもキズや汚れとして衣装に刻み込む。そうして彼女が作りこむ衣装は、ただの装飾ではなく、役の人生を映す「もう一つの脚本」とまで称させることも。
緻密な表現力は海外でも高く評価され、2025年、イギリスの演劇賞「ローレンス・オリヴィエ賞」最優秀衣装デザイン賞にノミネートされた。
 
しかし、彼女の人生は順風満帆ではなかった。
学生時代は陸上でオリンピックを目指していたが、18歳で腰を骨折し、競技の道を断念。
失意の中で観た一本の舞台――その衣装の美しさに心を打たれたことが、彼女の人生を変えた。
「この世界で生きたい」――そう決意した中原は、20代で単身アメリカへ。
有名ブランドでアシスタントを務めながら、独学で衣装を学んだ。
帰国後に独立し、舞台衣装をはじめ、キャラクターデザイン、甲冑、パペットなど、ジャンルを超えて表現の幅を広げている。
“布で物語を語る”という信念のもとに生きる、ひとりのアーティスト。
彼女が創り出す世界の裏側と、舞台に懸ける情熱に迫る。
 
独自のこだわりと情熱で、衣装に命を吹き込む衣装デザイナー。その製作の裏側と舞台に懸ける想いに追った。