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放送内容

#141

ピアノ修復家 山本宣夫

約300年以上の歴史を持つピアノ。時代とともに進化を遂げてきたその陰で、役目を終え、響きを失われていくピアノも少なくない。そうしたピアノに、再び命を吹き込む男がいる。ピアノ修復家・山本宣夫(77)。
山本は、オーストリア国立ウィーン美術史博物館で日本人初の客員修復家に選ばれ、モーツァルト没後200年記念プロジェクトでは歴史的楽器の修復を担当。本場ヨーロッパでも、その技術と審美眼は高く評価されてきた。
1999年には、ピアノの原型とされる1726年製クリストーフォリを、当時の材料・工法を徹底的に検証しながら復元。単なる再現ではなく、「音楽が生まれた瞬間の思想」まで掘り起こす挑戦だった。その復元機はイタリアやウィーンで展示・演奏され、世界的な注目を集める。
山本が大阪・堺に構える工房には、およそ20台の歴史的ピアノが並ぶ。
その仕事は、壊れた部分を安易に新素材へ置き換えることではない。木材の繊維の向き、膠の質、金属の配合──当時の技法に限りなく近づきながら、本来の響きを呼び戻していく。
長い年月を経た“長老ピアノ”に、再び息を吹き込む。山本の孤高の探求に密着する。