番組表

動画公開のお知らせ

『BS朝日 日曜スクープ』放送内容を動画公開します。
生放送でお伝えするニュース解説を放送終了後、ネットで動画公開します。
もう一度、ご覧になりたい方、見逃してしまった方、是非ともご利用ください。



■『BS朝日 日曜スクープ』2月9日の放送内容は現在、公開中です。
【日米首脳が共同声明】安保・経済で連携深化“黄金時代の追求”石破氏の成果と課題は
石破総理は現地時間の2月7日午前11時54分、首都ワシントンのホワイトハウスで、トランプ大統領と初めて会談した。トランプ氏は、ホワイトハウスに到着した石破氏を出迎え、その際、「日本を愛している」と記者団に語った。両首脳は、約30分間にわたる会談に臨み、友好的なムードの中、和やかに進められた。続いて、両首脳は食事を交えながら意見を交わす「ワーキングランチ」を行った。その後、予定時間から1時間10分遅れで、両首脳は記者会見し、共同声明を発表した。
 
トランプ氏に関する印象について、外国人記者からの質問を受けた石破氏は、「テレビで見ると、声高でかなり個性が強烈で、恐ろしい方だという印象がなかったわけではない。実際にお目にかかると、本当に誠実な、そして、力強いアメリカと世界に強い使命感を持たれた方だと、お世辞を全く抜きで感じた」と称賛した。また、米国が日本からの輸入品に追加関税を課した場合、報復措置の実施有無を問われると、石破氏は、「仮定の質問にはお答えしかねます、というのが日本の定番の国会答弁でございます」と返し、トランプ氏は「とてもいい答えだ、石破総理はわかっているね」と述べ、笑いが飛び交う場面もみられた。
 
首脳会談では、安全保障や経済について連携強化を確認。会談後には、「日米関係の新たな黄金時代を追求する」とする共同声明を発表した。声明によると、両首脳は、日米安全保障条約5条の尖閣諸島への適用を確認した。また、自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みを向上させ、南西諸島における二国間プレゼンスの向上により、台湾海峡の平和と安定を維持する重要性を申し合わせた。成長と繁栄をもたらす日米協力も確認された。日米は、AIや先端半導体などの重要技術開発における協力、また、米国から日本に向けた液化天然ガス輸出の増加を推進する。さらに、日米は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、連携を図ることを表明した。
 
石破氏は、「日本の対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模まで引き上げたい」との意向を、トランプ氏に伝えたことを、首脳会談後の共同記者会見で明らかにした。石破氏は、「トヨタ」や「いすゞ」など日本企業による投資計画や、日本が米国産LNGの輸入を増やす点を強調した。一方、トランプ氏は、貿易相手国から課される税率と同じ関税を課す「相互関税」を導入する方針を明らかにした。トランプ氏は、来週にも計画概要を発表すると説明、また、日本に対する米国の貿易赤字に関しては、「関税が貿易赤字解消の選択肢になる」との認識を示した。
トランプ氏は、日本製鉄による米鉄鋼大手「USスチール」の買収計画をめぐり、「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」と明らかにした。トランプ氏は、「(USスチール)は、私たちにとって非常に重要な企業だ」としたうえで、USスチールの所有権が米国から離れることについて、「心理的に良くない」と述べた。トランプ氏は来週、日本製鉄のトップと会談し、調停と仲裁を行う見解を示した。一方、日本製鉄は「会談の内容を確認している」とコメントを出した。トランプ氏は6日、日米首脳会談に先立ち、USスチールのブリット最高経営責任者(CEO)と面会しており、日本製鉄のUSスチール買収計画を協議していた可能性がある。
 
★ゲスト:杉山晋輔(元駐米大使)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
(公開期間は放送から2週間です)

 
 
【ガザ所有は不動産取引】域外移住に再開発“国際社会が反発”トランプ氏構想の真相は
トランプ米大統領は2月4日、イスラエルのネタニヤフ首相と同席した会見で、パレスチナ自治区ガザ地区について言及し、米国がガザを所有し、パレスチナ人を別の土地に移住させた後に、「中東のリビエラ」を目指す再開発を行う意向を表明した。トランプ氏は、ガザ住民をヨルダン、エジプトなどに移住させる考えで、「荒廃したガザは住むのに適していないので、ガザに戻ろうと思わないような素敵な行き先を提供したい」と、自身の構想を明らかにした。ガザ地区は、トランプ氏の就任前日の1月19日に停戦が発効し、南部から北部に多くの人が徒歩で移動を行っている。現在、ガザ地区全体では200万人以上のパレスチナ人が暮らしており、15カ月以上に及ぶ戦闘で4万5000人以上が死亡している。トランプ大統領の「ガザ所有」発言について、イスラエルの極右政党党首で、連立政権の閣僚であるスモトリッチ財務相は6日、歓迎の意向を示した。スモトリッチ氏は、「パレスチナ国家という危険な考えを決定的に葬り去る」と強調した。
 
日本時間の8日未明に行われた日米首脳会談で、記者からガザ所有のスケジュールなどを問われたトランプ氏は、「(ガザを所有する案は)非常に好評だ。米国はこれを不動産取引として見ている。我々はこの地域で投資家となる。急ぐ必要はない」と答えた。米国のガザ所有によるパレスチナ人の域外移住を提案したトランプ氏に対して、中東から反発が広がっている。ロイター通信によると、サウジアラビア政府は親米国ではあるが、「パレスチナ人を彼らの土地から追い出そうとするいかなる試みにも反対する」と強調し、「パレスチナ国家の樹立なしに、イスラエルとの関係を確立することはない」と表明した。グテーレス国連事務総長は5日、「解決策を模索する中で、問題を悪化させてはならない。国際法の根本に忠実であり続け、いかなる形の民族浄化をも回避することが不可欠だ」と語った。
 
国際社会の反発や懸念を受けて、トランプ政権の関係者は軌道修正に追われた。ホワイトハウスのレビット報道官は5日、「大統領は米国がガザ地区に部隊を派遣し、再建の費用を負担するとは約束していない」と釈明した。トランプ氏は自身のSNSで、「ガザ地区は戦闘終結後にイスラエルから米国に引き渡される。米軍の派遣について、その必要はない」と投稿し、発言を修正した。さらに、ルビオ国務長官は6日、滞在先のドミニカ共和国で、トランプ氏が示したガザ所有の構想について、「不発弾などが残されていて危険なため、現時点で居住は不可能。ガザ復興中、住民は一時的に他の場所に居住する必要がある」と説明した。
 
トランプ政権の中東担当特使として、不動産会社を経営するユダヤ系の富豪スティーブ・ウィトコフ氏は、中東政策の方向性に大きな影響力を持つと報じられている。ウィトコフ氏は、1月29日にガザ地区を視察した際、「ほとんど何も残っていない。5年以内のガザ再建に向けた確固たる計画を立てられると思っていたが、それは不可能。10年から15年は必要だ」と、見通しを語った。米CNNは、トランプ氏に対するウィトコフ氏によるガザに関する説明が「転換点」となったと報じた。加えて、中東問題担当の大統領上級顧問であるマサド・ブロース氏も中東政策に取り組んでおり、トランプ氏の意思決定に貢献している。ブロース氏は、レバノン系アメリカ人で、トランプ氏の次女ティファニー氏の義理の父にあたる。今回の米大統領選で、ブロース氏は、アラブ系の有権者を取りまとめる重要な役割を果たした。
 
★ゲスト:高橋和夫(放送大学名誉教授)、杉山晋輔(元駐米大使)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
(公開期間は放送から2週間です)

 



■『BS朝日 日曜スクープ』2月2日の放送内容は現在、公開中です。
【カナダ・メキシコに関税25%】トランプ氏4日発動“貿易戦争へ“報復応酬の激化は
米首都ワシントン近郊にある「レーガン・ナショナル空港」付近で、日本時間の1月30日午前11時ごろ、アメリカン航空の旅客機と米軍のヘリコプター「ブラック・フォーク」が空中で衝突し、両機は市内を流れるポトマック川に墜落した。旅客機には乗員乗客64人と、米軍ヘリには兵士3人が搭乗しており、当局は全員の死亡を発表した。今回の墜落事故を受けて、トランプ大統領は30日、事故の遠因として、米連邦航空局(FAA)の職場における少数派の参加を促す「多様性、公平性、包摂性(DEI)政策」があったと一方的に主張し、バイデン政権を批判した。
 
トランプ氏によるDEI政策を巡る批判は、中央銀行にも波及した。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを見送り、政策金利を現状維持としたことを受けて、トランプ大統領は1月29日、インフレ抑止を巡り、FRBとパウエル議長を批判した。トランプ氏は「FRBがDEI(多様性・公平性・包摂性)やジェンダー、偽りの気候変動問題に時間を費やさなければ、インフレは問題にならなかった」と主張した。
 
トランプ大統領は2月1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税、中国からの輸入品に10%の追加関税を課すことを命じる大統領令に署名した。4日から関税を課すことになる。トランプ大統領は1月31日、メキシコとカナダに対し、2月1日から、関税を発動することを明言していた。トランプ氏は、合成麻薬フェンタニルが中国からカナダ、メキシコを経由して米国に流入していることをはじめ、不法移民への対策などの理由を挙げた。
 
カナダのトルドー首相の後任の有力候補である、フリーランド前財務相は1月31日、米国がカナダに関税発動をした場合、米国産のワイン、ビール、蒸留酒、そして、テスラ車に100%の関税を課すべきだ」と、対抗する考えを明らかにした。フリーランド前財務相は1月27日、トランプ氏による関税発動等に対応するために、メキシコ、デンマークなどを交えた国際サミットの開催を呼びかけた。トランプ氏による関税発動の大統領令を受けて、カナダのトルドー首相は、「米国からの輸入品の一部に25%の報復関税を課す」とし、対抗する姿勢を示した。
 
一方、メキシコのシェインバウム大統領は1月31日、メキシコからの輸入品に米国が新たな関税を課した場合、「米国政府の決定内容に応じ、プランA、B、Cがある」と対抗措置を講じる可能性を示唆した。
 
トランプ大統領による関税発動の強硬姿勢が、コロンビア不法移民の強制送還で奏功した。トランプ氏は、コロンビアの不法移民を軍用機による輸送を実施し、強制送還を試みたが、コロンビア政府は着陸を拒否。これに対抗して、トランプ氏は、コロンビアに関税を25%課すなどの報復措置をとると明らかにした。コロンビアのペトロ大統領は1月26日、「移民は犯罪者ではなく、人間として当然の尊厳をもって扱われるべきだ」と、人道的な対応を米国に求めることを主張していた。しかし、コロンビア政府は、不法移民全員を無条件に受け入れるなど、トランプ氏が求めた条件に合意したことから、米国による関税措置は当面、見送られた。コロンビアのムリージョ外相は、「コロンビアは米国との行き詰まりを克服した」と語った。
 
トランプ大統領と石破総理による初の首脳会談が、2月7日に行われる見通しとなった。トランプ氏は、「彼(石破氏)は来週来る。会談したいと言ってきた。私は日本を尊敬しているし、好きだ。話ができることを楽しみにしている」とコメントした。石破総理は、ホワイトハウスで会談する外国首脳として、2番目となる可能性がある。第1次政権では、トランプ氏は、米国製兵器の大量購入、鉄鋼・アルミに25%の追加関税などを要求していた経緯がある。
 
★ゲスト:鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
(公開期間は放送から2週間です)

 
 
【中国AIディープシーク】低コストで高性能“米政権に焦燥”技術覇権と安全保障は?
中国東部の浙江省杭州市に本社を置く新興企業「ディープシーク(DeepSeek)」が最新の人工知能(AI)モデルを発表し、世界の株式市場と米政権を揺るがした。同社製品は、米国のトップモデルに性能面で引けを取らず、低コストで実現したとしている。AI半導体大手の米エヌビディアなどの株価急落に直結した。この衝撃を受けて、1月27日は、世界的にハイテク株が売られた。これにより、エヌビディアは、時価総額で一時18%下落し、5927億ドル(約92兆円)が消失した。トランプ米大統領は27日、「ディープシークによる生成AIの発表が、競争に勝つためにさらに集中すべきだという米国AI業界への警鐘として受け止めるべきだ」と語った。
 
米シリコンバレーのベンチャーキャピタリスト、マーク・アンドリーセン氏は1月26日のSNS「X」で、ディープシークの「R1モデル」は、AIの「スプートニク・モーメント」だと投稿した。アンドリーセン氏は、1950年代後半に、宇宙競争の開始を告げた旧ソビエト連邦による人工衛星の打ち上げに例え、米国が抱く危機感を表した。米紙「ワシントンポスト」によると、今回の開発費は約560万ドル(約8.7億円)で、米国製の1割程度とされる。ディープシークには、エヌビディア製の格落ちチップ「H800」 約2000個が、一方、米国製は最新型「H100」数万個が使用されている。
 
主要テック企業3社は1月21日、米国におけるAIインフラの拡大を目指す新会社「スターゲート」を設立すると発表した。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)、ソフトバンクの孫正義CEO、オラクルのラリー・エリソン会長は同日、ホワイトハウスでトランプ大統領と共に設立を発表。同プロジェクトには今後、米国内で最大5000億ドル(約78兆円)の投資が予定されている。トランプ氏は、「世界的なテックの巨人が『スターゲート』を設立する。技術とAIは全部”Made in USA”にする」と述べた。計画には、全米20カ所のデータセンター建設も含まれている。最初となる約50万平方フィートのデータセンターは、米テキサス州に建設する予定となっている。
 
米ホワイトハウスのレビット報道官は1月28日、ディープシークが国家安全保障に与える影響について、国家安全保障会議(NSC)が精査していると明らかにした。ディープシークが開発したAIの使用を制限する動きが、世界の企業や政府機関の間で広がりを見せている。ディープシークの生成AIについて、データ流出の懸念から、世界で数百に及ぶ企業などが職員に利用制限を課している。この懸念について、中国外務省は「企業の問題は企業に確認してほしい」としながらも、「中国は企業や個人に対して違法なデータの収集や保存を要求したことはない」と反論した。
 
自民党の小野寺五典政調会長は1月31日、ディープシークに尖閣諸島が日本の領土かと尋ねたところ、「中国固有の領土と事実と違う答えが返ってきた」と指摘した。小野寺氏は「当たり前のことをねじ曲げてしまうのがディープシークだと心配している。危ないのでダウンロードはやめていただきたい」と主張した。
 
★ゲスト:今井翔太(AI研究者)、鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
(公開期間は放送から2週間です)

 



■『BS朝日 日曜スクープ』1月5日の放送内容は現在、公開中です。
【減速経済にトランプ関税】習政権の内憂外患“覇権阻止”米国強硬派の起用で日本は?
中国の習近平国家主席は2024年12月31日、新年に向けた演説で、減速する経済について、「中国経済は回復して上向き、GDPは130兆元(約2795兆円)を超える見通し、食糧生産量は7億トンを超える」と経済好調への自信を示した。しかし、新年最初の株式取引日となった1月2日、中国マーケットは大波乱となった。中国の主要企業300社で構成する株価指数「CSI300」の2日の終値は2.9%安と、年初の取引としては、2016年以来、最大の下落率となった。中国の2025年経済政策の方針を決める「中央経済工作会議」が12月11、12日に北京市で開催された。会議では、主に内需不足により、中国経済は多くの困難と課題に直面している現状が報告され、「一部の企業は生産と運営が困難であり、国民は圧迫されている」と指摘された。また、「より積極的な財政政策を実施すべき。超長期特別国債の発行を増額し、財政支出で景気を下支えする適度に緩和的な金融政策を実施する必要がある」と総括された。
 
新年演説で習氏は、2025年の中国経済について、「現在の経済運営は幾つかの新しい状況に直面している。外部環境の不確実性による試練、新旧原動力の転換による圧力はある」と語った。習氏は、外部環境の確実性に関する詳細な言及は避けたが、1月20日に始動するトランプ次期政権による対中圧力を指すものと見られている。トランプ氏は12月22日、国防総省ナンバー3の国防次官にエルブリッジ・コルビー元国防副次官補を起用することを発表した。コルビー氏は2018年の国家防衛戦略の策定で責任者を務めた対中強硬派で、日本に対して、防衛支出における大幅増額の必要性を訴えている。
 
コルビー氏は、自著「アジア・ファースト」の中で、米中がライバルとして対峙することを指摘したうえで、その前提条件として、米国の国家戦略と軍事戦略を組み立てる必要性を主張している。その戦略を踏まえて、コルビー氏は、日本などを主要メンバーとする「反覇権連合」を構築することを主張している。この「反覇権連合」とは、中国がアジアにおける覇権奪取を防止するものであり、政治的イデオロギーや宗教上の違いを問わないとして、コルビー氏は「拒否戦略」の実行を訴えている。
 
★ゲスト:柯隆(東京財団政策研究所)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
(公開期間は2月19日24時迄です)

 



■『BS朝日 日曜スクープ』2024年11月17日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害その後】遺族が警察の対応を問う裁判“最高裁も上告棄却”不受理の決定
「熊谷6人殺害その後」司法はまたも遺族の訴えを退けた。家族3人の命を奪われた加藤裕希さんは、当時の警察の対応を問題視して裁判を起こしていたが、最高裁が加藤さんの上告を棄却した。
 
事件が起きたのは2015年9月。ペルー人の男が埼玉県警の熊谷警察署から逃走し、その翌日、熊谷市内で50代の夫婦を殺害した。さらにその後の2日間で、80代の女性を殺害した後、加藤さん宅に侵入し、妻と2人の娘を殺害した。男は一審の裁判員裁判で死刑を言い渡されたものの、控訴審で減刑され無期懲役が確定している。
 
加藤さんが自ら起こした裁判では、最初の殺人事件が起きたときの埼玉県警の対応を問題にした。県警は熊谷署から逃走中だったペルー人の男を「参考人」として全国に手配していた。しかし、県警は男の逃走を公にせず、防災無線などを用いての注意の呼びかけもないまま、連続殺人に至った。
 
加藤さんは「最初の殺人事件が起きたとき、埼玉県警が『逃走犯による無差別殺人の可能性がある』と広報していれば、私も妻も警戒を強めて、犯行を防ぐことができた」と訴えた。しかし、1審、控訴審ともに、加藤さんの訴えを退けた。そして今回、最高裁も加藤さんの上告を受理せず、棄却した。
 
加藤さんは、最高裁が上告を受理しなかったことについて「闘う土俵にも上れず、悔しい」と話している。ご家族の3人には、「気持ちの整理がつかず、裁判の結果を報告できない」という。
 
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH

 
 
 
■『BS朝日 日曜スクープ』2023年9月10日の放送内容は現在、公開中です。
【熊谷6人殺害国賠訴訟】上告理由書を提出“警察裁量”不当性の存否◆日曜スクープ◆
2015年に埼玉県熊谷市で男女6人が殺害された事件で、妻と娘2人の殺害は県警の近隣住民への注意喚起が不十分として、遺族の加藤裕希さん(50)が5日、最高裁判所に上告審として受理することを求める理由書を提出した。今年6月、加藤さんが県に約6400万円の損害賠償を求めた国家賠償請求は、控訴審で棄却されていた。最高裁で上告が受理されて審理の対象となるのは2022年の場合、1.3%の狭き門だった。
 
訴えによると、当時、埼玉県警は熊谷署から逃走中だったペルー国籍のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者を、最初の殺人事件の「参考人」として全国に手配していた。ジョナタン受刑者の逃走については、加藤さんの事件が起きるまで、埼玉県警は明らかにしていなかった。1審のさいたま地裁は昨年4月、埼玉県警の情報提供に違法性はないとして、原告の訴えを棄却。昨年10月に始まった控訴審では1審と同様、事件の発生について予想可能かどうかという、警察が予め知り得る「予見可能性」、また、その「予見可能性」に基づく「結果回避義務」の存否が争点となったが、東京高裁は今年6月、危険の切迫性を認めながらも、重大事件が発生した初期段階で捜査の状況に応じて、地域住民にどの程度の情報を提供するかは警察の裁量に委ねられている」と判示し、控訴を棄却していた。
 
加藤さん側が提出した理由書によると、埼玉県警幹部は「屋外の通り魔事件であれば1件発生しただけで連続発生を想定すべきであり、屋内事件であれば2件続けて発生しない限り連続発生を想定できない」とする、いわゆる「1件2件論」を主張する。しかし、加藤さん側は「1件2件論」は警察庁が否定しており、また、裁判例や法律文献もなく、その主張の信用性を吟味することなく、埼玉県警幹部の証言を鵜呑みにした控訴審の判決理由に不備があると訴えている。今回の理由書の提出を受けて、加藤さんは「どうにか公正な判断を司法に求めて、勝訴に向けて頑張っていければとは思います」と現在の心境を語った。
 
▽埼玉・熊谷6人殺害事件
2015年9月に、住宅3軒で男女6人が殺害された事件。強盗殺人などの罪に問われたナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン受刑者は2018年3月、1審・さいたま地裁で死刑判決。東京高裁は19年12月、心神耗弱を理由に1審判決を破棄、無期懲役を言い渡した。検察側は上告を見送った。最高裁が20年9月、無罪を主張する弁護側の上告を棄却、無期懲役の高裁判決が確定した。
 

放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH



■『BS朝日 日曜スクープ』2023年8月13日の放送内容は現在、公開中です。
【玉本英子ルポ破壊された街】砲撃の連続で“民間人犠牲”戦禍の現実◆日曜スクープ◆
遠方から砲声が鳴り響き、砲弾が降り注ぐ街で、殺戮と破壊の連鎖が続く。ジャーナリスト・玉本英子氏(アジアプレス)は、今年5月初旬にウクライナに入った。ザポリージャ州南部の戦闘地域から約7キロ離れたオリヒウ市内は、ロシア軍による砲撃と大型爆弾の投下で、住宅や学校などが無残に破壊されていた。約9割の住民が避難で街を離れたが、約200人が避難する学校を取材した玉本氏は、戦争の理不尽に耐えながら生活を余儀なくされる住民の苦難を目撃する。玉本氏が取材した翌月、ウクライナ軍は、このオリヒウを拠点に、大規模反転攻勢に着手した。また、昨年8月、玉本氏は南部ヘルソン州での取材で、ウクライナ軍の隊長と出会った。だが、今回の取材中、玉本氏に悲報が届く。激戦地バフムトに転戦した隊長は、塹壕で砲弾を受け亡くなった。ジャーナリスト・玉本英子氏は今回の取材を通じて、戦禍の日常と現実にどう向き合ったのか。ロシアの侵略により、市民が受けた痛苦と不条理を伝える。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
 
【ウクライナ玉本英子ルポ①】南部“最前線の街”激化するロシア砲撃◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。南部ザポリージャ州のオリヒウでは今年5月、ロシア軍による砲撃が絶え間なく続いていた。戦闘地域から7キロの“最前線の街”だ。取材の翌月には、ウクライナ軍がこのオリヒウを拠点に、反転攻勢に着手している。玉本氏が取材した時点でも、学校や住宅など、至るところに砲撃の跡があり、高齢者ら、避難できなかった住民が、数少ない残った建物に身を寄せていた。そこで住民たちが祈っていたことは…。さらに玉本氏は、複数のウクライナ軍の検問所を通過し、戦闘地域により近いマラ・トクマチカにも向かった。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
 
【ウクライナ玉本英子ルポ②】ヘルソン州“奪還”後も苦難…庭に砲弾◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ヘルソン州のドニプロ川西岸からロシア軍が撤退したのは去年11月。玉本氏は今年5月にヘルソン市内を訪れたが、ロシア軍からの砲撃が続き、市内の人影は少ない。玉本氏は、ロシア軍撤退前の去年8月、ヘルソン市郊外の集落を取材しており、今年6月に再訪すると、避難していた住民の一部が帰還していた。しかし、庭先には砲弾が残り、電気や水道などのインフラも復旧はこれからだ。さらに、取材中の玉本氏に悲報が届いた。去年8月の取材を受け入れたウクライナ軍の隊長が激戦地バフムトに転戦し、戦死したのだ…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH
 
【ウクライナ玉本英子ルポ③】集合住宅まで崩壊…起きなかった奇跡◆日曜スクープ◆
ジャーナリストの玉本英子氏(アジアプレス所属)が戦禍のウクライナを現地取材。ウクライナ中部の都市ウマニは今年4月末、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受けて崩落した。午前4時の攻撃で、子ども6人を含む23人が命を奪われている。その翌月、玉本氏が現地を訪れると、犠牲者23人の写真が掲げられ、多くの子どもたちが友達の写真を見つめていた。6階に住んでいたヘレナさん(53)は、娘夫婦と暮らしていたと言う。ヘレナさんは、別の部屋で寝ていた娘夫婦の無事を祈り、奇跡を願ったのだが…。
 
★ゲスト:玉本英子(ジャーナリスト/アジアプレス)
★アンカー:杉田弘毅(共同通信社特別編集委員)
 
放送内容の動画はこちらからご覧いただけます。
⇒ テレ朝news
⇒ ANNnewsCH