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#125

ミシュラン2つ星を持つ鮨職人の白いギリシャ風の家~後編~

東京都23区の最南端に位置する大田区蒲田。大正時代には松竹キネマ蒲田撮影所があり、17年間でおよそ1200本もの映画が作られました。周辺には多くの俳優たちが住み、「流行は蒲田から」とも言われたムーブメントの発信地でもありました。
今回は、2週連続スペシャル企画の後編。蒲田で120年以上も続く、老舗鮨屋を営むN邸を訪ねます。鮨職人の父に憧れて、家業の鮨屋の4代目を継いだご主人が17年前に建てた3階建てのビルのリモデル。1階はミシュラン2つ星を獲得した鮨屋の店舗、2階と3階にご夫婦と愛犬2匹が暮らしています。
今では蒲田の名店として名がしれている鮨屋ですが、Nさんが外のお店で修行していた頃は、全く客が入らず、存亡の危機にあったそうです。そこでNさんは奥様と一緒に実家へ戻り、両親の店を手伝う事に。夫婦で身を粉にして働き、徐々に経営が回復。そして34歳だったNさんがローンを組んで建てた現在のビルは、2階と3階の住居部分にはお金をかけず、鮨屋のカウンターには最高級の国産尾州ヒノキを使うなど、店作りにお金をつぎ込みました。しかし経営が軌道に乗り始めた矢先、Nさんの奥様が乳がんを発症。すでに病気が進行し、「5年生存率」が20%と医師から告げられてしまいました。そんな中、Nさんは入院中の奥様の愛読していた住宅雑誌を目にして、初めて奥様の理想の住まいを知る事に。奥様を喜ばせるために自宅の改修を決意したNさん。しかし治療費がかかる為、お金をかけず独力でリモデルしたのです。そして、2013年、奥様の乳がんが発症した年から8年が経ち奇跡的に治療が落ち着いたのを機に、改めてプロに頼む事に。奥様が雑誌で見てずっと憧れていた設計事務所に依頼しました。
2階の和室のクローゼットがあった場所にはバーカウンターを設置。カウンターの下にはウエスタンドアを取り付け、愛犬たちも自由に出入りできるようにしました。サロンと繋がる開口を設け、ゲストをドリンクでもてなせるようにしました。キッチンは以前と同じ場所ですが、エーゲ海の島々に建つ民家のキッチンをイメージしてリモデル。古材風のエイジング加工を施したカウンターを選びました。2階から3階へ移動した浴室は、窓から借景を眺めながら入れるよう、浴室を斜めに設置しました。冬は雪見酒、春は花見が楽しめる夢のようなお風呂です。深い愛情で病を克服し、日々の暮らしを心から楽しめる二人にぴったりの住まいになりました。
 
設計担当:ネイチャーデコール
(http://www.nature-decor.com/)

【平面図】

2F before

2F after

3F before

3F after