番組表

放送内容

#118

魚屋店主 松本秀樹

東京・根津。下町情緒が残る静かな通りに、異彩を放つ一軒の魚屋がある――「根津松本」。和モダンな外観に大きなショーケース。そこに並ぶ魚はまるで宝石のように輝き、来る者の心を奪う。
ここで手に入るのは全国から選び抜かれた一線品ばかり。目利きを行っているのは、店主の松本秀樹(54)だ。
彼のこだわりは、仕入れで終わらない。マナガツオは数ミリ単位でウロコを剥ぎ、ピンセットで骨一本残さず処理。「おいしいけれど、小骨が多いのが魚の宿命」――そんな常識さえ覆す。徹底的に小骨を取り除き、誰もが“旨さ”に集中できる状態で差し出すのだ。
いくらなら、通常一枚残す皮を二枚とも剥き、口中でとろける食感をつくり出す。
松本は「全部、自分の責任で売りたい」との想いを胸に、街の鮮魚店では手に入らないはずの一級品を仕入れる独自ルートを開拓してきた。借金を背負い、売れなくても妥協しなかった。「質を落としたら、僕の存在意義はなくなる」。そう愚直に突き進んだ先に、「日本一の魚屋」の名声を手に入れた。
昨年は麻布台ヒルズに新店舗をオープンし、四季折々の「一番うまい魚」を収めた写真集まで出版。番組では、素材選びから仕込み、店づくりに至るまで全身全霊を注ぐ松本の仕事に迫る。