BS朝日

バックナンバー

#61

新しい懐かしさを感じる 松戸の家

「矢切の渡し」で有名な千葉県松戸市。江戸川を挟んで東京都に接する、通勤にも通学にも便利な街ですが、市街地から少し離れれば、まだまだのどかな田園風景が広がっています。
今回訪ねるK邸は、築36年の木造2階建てのお宅。フリーライターのご主人と雑誌編集者の奥様は、3歳になるお子さんと3人で暮らしています。以前は世田谷区の賃貸住宅にお住まいでしたが、お子さんを育てる環境を考え、自然豊かな奥様のご実家近くで物件探しを始めました。そこで見つけたのが、敷地約60坪、純和風の庭がついたこちらの一軒家でした。都心では高額になりそうな物件を、東京から離れることで安く購入できたK邸。しかし、思わぬ問題がありました。斜面に建つK邸は、土地を平らにするために一部に盛り土がされていましたが、その土が雨などで流れ出て、地盤が不安定となり家自体が傾いていたのです。そこで、家族3人が安心して暮らせるよう地盤の補強をはかり、和の趣を残した快適な生活空間を目指してリモデルすることにしました。
地盤沈下を解消するのが大きな課題だったK邸。建物のリモデル前に、まずは崖側の建物を一部減築し、地盤に鋼管の支柱を打ち込んで地盤の補強を施しました。
以前は玄関ホールと6帖の応接室、8帖の和室が並んでいたところは、広いリビングダイニングへと変わりました。広い空間を緩やかに仕切り、空間を引き締める効果を狙って部屋の真ん中に収納を作り、その収納を貫くように磨き丸太を取り付けました。Kさんお気に入りの庭を眺める縁側のひさしは長さが短かったため、夏は日光を遮り、冬は部屋の奥まで日差しを取り込むという、ひさし本来の役割を果たせていませんでした。そこで既存のひさしを伸ばし、その役割を回復させるとともに、室内から庭を見たときに美しく景色を切り取れるようにしました。
家事に仕事にと忙しい奥様のために、キッチンのすぐ隣には奥様の仕事部屋と水まわりを作りました。コンパクトなスペースで作業ができるため、お子さんの様子を見ながら家事や仕事ができるようになりました。
東京からわずかの距離で、都会では味わえない豊かな暮らしを手に入れたKさんご家族。たっぷりの緑に囲まれて、お子さんものびのびと育っています。
 
渡辺貞明建築設計事務所
http://www.sadwat.com/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after