番組表

放送内容

#156

天ぷら職人 近藤文夫

日本料理を代表する天ぷら。素材の持ち味を引き出す技術を半世紀以上にわたり磨き続け、現在も厨房に立つ男がいる。東京・銀座「てんぷら 近藤」の店主、近藤文夫(79)だ。
 
18年連続でミシュランガイド二つ星に輝き、予約は常に2か月待ち。多くの著名人も虜にしている。近藤が揚げる天ぷらは、薄い衣で食材のみずみずしさを包み込み、素材本来の味や香りを引き出すのが特徴。
その中でも近藤が広く知らしめてきたのが、野菜を主役にした天ぷらだ。かつて「江戸前の天ぷら」といえば魚介が中心だった時代に、野菜の持つ旨みや香り、食感に可能性を見出し、素材ごとに揚げ方を追求してきた。絶妙な揚げ加減は、時間ではなく、鍋の中で弾ける泡の音を聞き分けて判断するという。
 
天ぷらの素材を大事にする近藤。早朝から市場へ足を運び、自ら食材を見極めるだけでなく、契約農家を訪ねて野菜の出来やお客からの反応を伝える。さらに、自分のもとを巣立った弟子たちの店にも顔を出し、その成長を見守り続けている。
 
素材の持ち味を引き出し、食べる人を笑顔にする。60年間、天ぷらと向き合い続ける男の真髄に迫る。