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#141

奥渋の空き家を見事に再生 ヘアピンカーブを見守る家

今回訪ねるのは、渋谷駅を降りて東急文化村の奥にあるエリア、通称“奥渋”。落ち着いた雰囲気のカフェや雑貨屋さんが点在し、今、大人の街として注目されています。一級建築士の加藤匡毅さんは、築40年の住居を自宅兼建築事務所にリモデル。一緒に事務所を経営する奥様と4歳の息子さんの3人で暮らしています。以前も近くに住んでいた加藤さんがこの物件と出会ったのは散歩をしていた時。当時は住み手もなく、草木は伸び放題、建物も痛みがひどい状態で、オーナーは駐車場にしようと考えていたそうです。しかし一目見た時から建物のポテンシャルを感じたという加藤さんは、賃貸物件として再生させることをオーナーに提案。最低10年間は自分たちが借りることを条件に、自分たちが理想にしていた、職住一体型の生活ができる住まいにリモデルしたのです。
ガレージだった1階は事務所にし、2・3階が家族の住まいになっています。事務所は商店街や周囲との繋がりを感じられる空間にしたかったと、ヘアピンカーブの道路に面する南側をほぼ全面引き戸のガラス張りにし、その窓辺はそのままベンチとしても使えるように設計しました。カフェの店舗設計も行う加藤さんは、2階の住まいの玄関扉をガラス張りにしたり、キッチンのカウンターの中にスピーカーを内蔵させるなど、住居では珍しい実験的な試みも。また、奥様のアイデアも随所に反映されていて、カウンターの上はこだわりの銅板を用いました。この銅板の色は床材のラワンやダイニングテーブルの色を考慮して選び、リビングに統一感を与えています。キッチンはターコイズブルー、キッズコーナーは黄色と、場所によってキーとなる色を決めたことも個性的で楽しい工夫に。建築に携わるご夫婦ならではの選び抜かれたセンスが光るリモデルでした。
 
設計担当:Puddle  http://puddle.co.jp/

【平面図】

1F before

1F after

2F before

2F after

3F before

3F after